2024展II 地蔵十王像重要文化財指定記念展 地蔵と地獄
逸翁美術館|大阪府
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地獄に仏
極楽レビューが2本続いた後ではなはだ恐縮ですが、こちらは地獄へのご案内です。
2年ぶり3回目の逸翁美術館訪問。民博からの帰りを利用して立ち寄りました。
阪急池田駅から徒歩で10分くらいの山手住宅地にある美術館で、館の近くだけがやや急勾配な坂道なのを除けばなんてことない距離です。
やってた企画展は「地蔵と地獄」。日々悔い改める人生を送ってる私にはうってつけなタイトルだ(笑)
入館したのが16時15分ぐらいで、閉館の17時まではあんまり時間ないけど、ここは展示フロアが広くないので問題なし。
出展数は全29点。うち前期後期で入れ替わるのが4点✕2なので、実質見れたのは25点ということになります。
他に対の軸の架け替えや、経典や図絵の頁替えもあるので、前後期両方行くのもありでしょう。
展示構成は三章から成ってて、まず第一章がお地蔵様。
当館所蔵の《地蔵十王像》が国の重文に指定された記念展なので、当然これが通期展示の目玉。縦長の上部に地蔵尊、その下方に地獄の十王を5人ずつ左右に配した構図で鎌倉期のものです。
この作品、お地蔵さまは主役なので、まあまあ見てとれるのですが、こういった仏画によくある退色のせいで、十王像は目を凝らして見ないと識別も何をしているのかもよくわからない。
幸い、解説付きの拡大写真もあればTVモニター画像も流されていたので、なんとか理解できました。
ちと話が脱線しますが、曼荼羅とか涅槃図とかの古い仏画類は、印刷物や映像では割とクリアに見せてくれるのですが、美術館、博物館で実物見たら色が暗くて何が何だかってのが多い。私の実体験からして。
ですから、平安、鎌倉、室町あたりの仏画展で、細部まで逐一鑑賞したい方は望遠鏡持参がよろしいかと。
実際そうされてるかたは多いでしょうが、拡大して見ても色が暗いとわからない場合もありそうです。
今回ここで得た知識が、お地蔵さまは僧形と菩薩形の二つのお姿があるということ。
私たちがよく見るのは頭を丸めた僧形で上記《地蔵十王像》がそれ。菩薩形となると立派な仏様のお姿となります。
当展でのもう一つの重文《十巻抄》での地蔵像は地蔵形と菩薩形の両方が描かれており差異がよくわかります。
第二章は地獄の十王。
死者の生前の行いを命日から数えて7日ごとに審判し、行先を定める十人の裁判官です。
初七日に始まって、14日、21日・・・と行先が決まるまで裁判は続き、7人目の裁判官の下す四十九日の判決でほぼ結審しますが、それでも決まらないときは残りの3名が、百日、一周忌、三回忌と登場してきます。十王で最も有名な閻魔大王は35日の判事さんです。
各十王には名前がありますが覚えられないので、私は十王図を見たらまず5番目を見て満足しております(笑)
当展には鎌倉~室町期の十王全員集合の図や閻魔様単独図などが出ておりました。
第三章は六道・地獄。
十王様によって下された判決により、死者は六道のいずれかに送還され輪廻転生を繰り返します。
最上位が天で、以下は、人間、修羅、畜生、餓鬼と堕ちてゆき、最低最悪の服役箇所が地獄道です。
地獄はさらにランク付けされた分類があって、八大地獄として知られています。そこではまさに「地獄絵図」が繰り広げられます。
《六道絵》や《十王図》には、様々な地獄の責め苦が描かれており、これを見たらとにかく日頃の行いを正さねばと誰もが思うでしょうね。
針の山、血の池、釜茹で、炙り焼き、鬼に追われ、串刺しにされ、切り刻まれ、石臼で挽かれ、果てしなき苦行が延々と亡者に課されます。
そんな中、私が探したのは賽の河原で石を積む子どもたち。親より先に死んだ子のそばにはお地蔵様。
ちゃんとその絵はありました。地獄に仏のワンシーンを片隅にようやく見つけてホッとしました。
当展、まだ1か月会期あり。前期は5月11日まで、間髪入れずに後期は5月12日からです。
逸翁美術館は阪急創業者の小林一三翁の蒐集品展示を目的に設立され、茶人でもあった翁のコレクションを始めとした良質な企画展を開催しています。
館自体は冒頭にも書いたようにこじんまりした建物で、展示スペースも正直広くはありませんが、静かにじっくり鑑賞できるのがいいですね。
そして、この美術館の最もユニークな点は、小さな音楽ホールが展示室と同じフロアに併設されていること。
演目は、現役を引退されたタカラジェンヌさんのミニコンサートがほとんどで、ヅカファンの皆様に支えられているのでしょう。
私はホールでの体験はありませんが、過去に美術館目的で訪問した際に、リハーサルの音や歌がしっかり聞き取れるぐらいの音量で展示室迄漏れ聞こえてきました。
コンサートは美術展の時間帯にやることもあるので、音が気になるかたは事前に公演時間帯をHPでチェックされるのがよいと思います。
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- karachanさん