デ・キリコ展
東京都美術館|東京都
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キリコの生涯に浸る
キリコの絵画をまとめてみたことがなかったので、興味深かった。
キリコ=形而上絵画というイメージだったが、もちろんそれだけではなく、それ以前の作品やそこを経てたどり着いた作品も鑑賞できた。
また、絵画だけでなく彫刻や舞台衣装も展示されており、幅広く美術に取り組んでいたことがわかる。
彫刻は形而上絵画が立体になり、背後からも見られるので面白かった。キリコのデザインした衣装を着た人々を、オペラの舞台上で観てみたかった。
近代絵画だから比較的新しい絵画だと思っていたが、よくよく鑑賞してみるとモチーフは神話などであり、昔から何度も繰り返し描かれてきたものが多いように思う。
表現は新しいが、モチーフを古代から描かれたものにすることで、より新しさが際立つとともに、もしかしたら少しでも当時の人に受け入れられやすいものに寄せたのかもと思った。
繰り返し作られる「剣闘士」や「哲学者」などにおそらく意味があるのだろうが、勉強不足でキリコの考えに至れなかった。
伝統的な絵画への回帰も興味深い。今まで主流でなかった新しい絵画表現を経てからの、伝統絵画へ魅かれる心境はどのようなものなのだろうか。
ルノワールの影響を受けて描かれた裸婦があったが、いいなと思い自分でも描いてみようと思ったのだろう。
ジャン・コクトーの作品の挿絵も、キリコの心が動く作品だったから描いたのだろうなと絵から伝わる。しかし、どうしてこのような「水浴」に辿り着いたのか想像つかず面白い。
展示室の作りも面白かった。
壁に窓のようにくりぬかれているところがあり、隣の部屋が覗ける。その窓から見る隣の部屋の作品は、近くで見るときとはまた印象が変わる。キリコの形而上絵画の一部のようでよかった。
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