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版画の青春 小野忠重と版画運動 ―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち―

版画の青春 小野忠重と版画運動 ―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち―

町田市立国際版画美術館|東京都

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版画普及への青年たちの思い

 小野忠重氏を中心に結成された新版画集団の活動を振り返ることができる。時代は日本が戦時体制へと向かう1930年代初頭。当時の青年たちが人物や景気などさまざまなテーマで作品を描いている。

 会場ではコラムと題されたコーナーでは、版画を普及させるための取り組みが紹介されている。たとえば、海外の作品との同時陳列や銅版画と石版画の紹介のほか版画の技術を深掘りするなど。

 多くの版画の日清戦争が始まる1932年ごろに描かれており、小野氏の作品からは重苦しい雰囲気が伝わってきた。おそらく、小野氏は日本が国家権力の手によって暗い社会へと突き進んでいくことを大衆に訴えたかったのではないかと感じた。

 しかし、版画家たちの思いに反して版画が一般大衆に普及したとは言い難いのではないかと感じた。おそらく、それぞれの画家が描いた版画のテーマに一貫性があまり見られなかったことが普及の妨げとなったのではないだろうか。小野氏が戦争に向かう日本の暗い将来を訴えたかったかは定かではないが、ほかの画家の作品からはこのような危機意識を感じることはなかった。版画に表現されるもののテーマがある程度共通していれば普及とつながったのではないだろうか。

 1点だけ明るさを感じる作品があった。それは、第二次世界大戦が終わったあとに描かれたものでタイトルは「工場」。戦前に描かれた同じ題名の作品とは異なり背景は紅色で描かれている。新たな時代へと1歩を踏み出そうとする日本の希望を感じる作品だった。
 
 文章ではなく版画によって何かを伝えたいという画家たちの意思が感じられた展覧会だった。

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