ゴッホと静物画 -伝統から革新へ-
SOMPO美術館|東京都
開催期間: ~
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ゴッホの黄色と青
展覧会タイトルが「ゴッホの静物画」じゃなくて、「ゴッホと静物画」であることに注意が必要。
「の」だとオールゴッホということになるが、「と」だからゴッホ以外の作家もあるという伏線になっています。
だから、当展はゴッホの静物画で埋め尽くされてると思って来たら、ありゃりゃというハメになるわけです(笑)
でもまあ、泰西の画家ではまず間違いなく人気No1のゴッホですから、そんな小細工タイトルなんか関係ないよってかたばかりですよね。私がそうだから(笑)
今回の出展作品数は全69点、うちゴッホが25点。十分でしょう。
しかも、ゴッホ作品がうまいこと分散された展示になっていて、他の画家たちもつかず離れずって感じで、SOMPO美さん、なかなかいい仕事してらっしゃいます。
ゴッホも他作家も静物画に絞った展覧会ですから、モチーフは当然、花、果実、野菜、花瓶、皿がほとんどです。
単調ではありますが、いろんな作家が対象をどう捉えているかを比較しながら見るのも面白いでしょう。
主役はゴッホですが、ルノワールもセザンヌもゴーギャンもモネも文字通り「花を添えて」います。
貸し出してくれた美術館は、おなじみのクレラー・ミュラーやファン・ゴッホ美術館をはじめとして、ユトレヒト、アムステルダム、ロッテルダム、ハーグとオランダのビッグネームが並びます。
国内も、ポーラ、メナード、上原、松岡、富士、ヤマザキマザック、国立西洋等々、あるとこにはあるよねといった静物画の至宝が集結しております。
それもこれも、SOMPOの《ひまわり》と同じ会場に出してもらえるという名誉があるからこそでしょう。
加えて、今回はもう一つの目玉、ファン・ゴッホ美術館の《アイリス》もありますからね。
そのひまわりとアイリスは、並んで展示されています。なんという贅沢なSPOTでしょう。
当然この2点の前には人垣ができますし、ゴッホには見る者を金縛りにするという神通力がありますので人垣はなかなか崩れません。
当展に費やす時間の大半はこの2作であることを心して出かけてください。
ここのひまわり見るのはこれで3回目かな。やっぱりいい。以前の所有者の遺族が返せと提訴したらしいけど、SOMPOさん、頑張って対抗してね。
アイリスは、個人的にはひまわりより好きかも。
ゴッホの得意技、黄色を駆使したひまわり。アイリスにはこれに必殺技の青が加わります。黄色と青。無敵であります。
黄色に濃淡あるように青にも濃淡あって、単なる補色の域を超えたツートンの極みというか、ゴッホの魅力はこの2色に集約されているのではないでしょうか。
今回やって来たゴッホの静物画は、パリで腕を磨いていた時代の作品が多く、アルル以降の画風とは一味違ってちょっとした新鮮な発見でもあります。
花を描いた絵はまるで別人が描いたかのよう。《石膏トルソ(女)》は青と白の2色使いが好きです。
そしてゴッホがゴッホとなった最後の2年間。この時代の作品はひまわりとアイリスともう1点《皿とタマネギのある静物》。
イヤーカット事件後、退院して間もない頃の作品です。
メンタルをやられてからのあの筆致は全開ではないけどしっかりと現れていて、ここでも金縛りにあいました。
訪問は11月中旬の平日、日時指定で入ったので入館はスンナリ。
客はさすがに多かったですね。それも絵を見に来たというより写真撮影が目的のかたがた。
シャッター音の洪水にはこっちがメンタルやられます。撮影するならとにかく音を消せと美術館側から通達出してほしいもんです。
展示リストや解説のダウンロードは流行りですけど、音消しアプリまで気が回る美術館にはまだ出会ってません。
ショップにも一言。なぜアイリスの絵ハガキがないの? ありえへんとはこのことです。
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