展覧会「ヤマザキマリの世界」
東京造形大学附属美術館|東京都
開催期間: ~
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ヤマザキマリを知る絶好の機会
ヤマザキマリさん(以下、マリさん)の初個展に行って来た。
会場は、東京造形大学。マリさんが客員教授を務めてらっしゃるそう。
恥ずかしながら、私はこの大学を知らなかった。でも、今年7月に仙台駅で大学紹介フェアみたいなのをやってるのにたまたま遭遇し、無料カタログにトートバッグが付いてたのが気に入ってもらったのがここだった。
そして11月、上京時の月曜日。毎度苦労する月曜開館の美術館&展覧会探しで見つけたのがヤマザキマリ展だった。
これっきゃないと、朝もはよから中央区のホテルを飛び出て一路西へ。
京王線で橋本まで行ってJRに乗換え、一駅目の相原下車。そこからはスクールバスで5分で大学に到着。
生まれて初めてスクールバスってのに乗れて嬉しかった。
言い忘れましたが、ここは八王子市です。バスは山奥に向かう風情で、沿線の民家の屋根には雪止めなんかが付いている。
どんなとこなんや(笑)イノシシはもちろん、クマも出そう。
バスを降りて正面を見上げれば、小高い位置にあるのが大学美術館だ。
階段を上がって小さめの正面入口に来る。開館まであと10分ぐらいあるのでベンチで待つ。学生さんの姿はまださほど多くない。
開館と同時に入場。受付のかた、ものすごく親切丁寧。展示リストはもらえたが、チラシが品切れなんですと。学内のどっかにないかと聞いてもそれもなくなりました。とのこと。
館内は礼拝堂みたいな感じの作りで、地下なのか半地下なのか、階段おりて行けば展示ホールになる。左右二室になっていて、どちらから見ても大丈夫。
左の部屋から見て回ると、コミックの原画が壁に並び、これまでの作品紹介となっている。
私は「テルマエ・ロマエ」しか知らず、他にもローマ帝国を舞台にした面白そうな作品が多々あるのを初めて知った。絵は皆さまご存じの通り、実に上手い。
「漫画家 ヤマザキマリ」の部屋、コミック好きな方は存分に楽しめると思う。
次の部屋は「画家 ヤマザキマリ」の部屋だ。
最近出た山下達郎さんのニューアルバムのジャケット画が目玉だ。油彩で丁寧に描かれた達郎さんの肖像は、ルネサンス期の作品のようでもあり、幕末期の日本人による洋画的でもあり、「これはイタリア人が描いた落ち武者の絵です。」と説明あったら、真に受ける人いそう。
あ、言っときますけど、めちゃくちゃ上手なんですからね。達郎さんがジャケ画依頼されたのはよーくわかります。
他に、人間国宝の歌舞伎役者さんや落語家の立川志の輔さんの絵もあって、これまた素晴らしい。
そもそも、マリさんは画家なんですから。それも本場イタリアの美術学校卒ですし。
幼少期の絵もお約束的に展示されてたが、これがもう天才的に上手い。
頭・胴体・手足の比をこんなに的確に書いた幼児画って、私は初めて見た。
その生い立ちが詳しくわかるのが、第二会場だ。
美術館を出て、矢印に沿って進んだ先が別会場になっていて、マリさんの年譜や著作、家族や趣味に関することが紹介されてて、これまた面白い。
弱冠14歳でヨーロッパを一人旅し、17歳で再びイタリア留学。なんて度胸ある人なんだとひたすら敬服だ。
生きざまがかっこよすぎて、ほんと、惚れてまう。
個人的に、今の日本でいちばんかっこよくて素敵だなあと思う女性は二人いる。
一人が脳科学者の中野信子さん。そしてもう一人がマリさんだ。
前者が理系代表、後者が文系代表だ。
お二方は雰囲気が似てるとこあって、対談したら面白いんじゃないかと思ってたら、すでにその本が出とるやないかい!
ほんと、みなさん同じこと考えるもんです。
マリさんのインタビュー映像も流れてて、これも面白い。
あのダミ声(失礼!)で、あれこれ語ってくださってるが、「私はマグロみたいに泳ぎ続けてないとだめなんです。」ってのが、いちばんわかりやすいマリさん像かな。
あと、影響受けたコミックとして、「ねじ式」をあげてらしたが、その際、無意識に二の腕を反対の手で押さえる格好されてたのが、メメクラゲに刺された少年の姿で、思わずニンマリしてしまった。
まあとにかく、八王子の山奥までやって来てほんとによかった。
このレビューUPした時点で当展の会期はあと2日ですが、行って損はありません。
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