企画展「若冲と応挙」
相国寺承天閣美術館|京都府
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見るべきは応挙の無惨絵
三の丸尚蔵館がいよいよ新築開館しますね。楽しみです。
開館記念展が4期に分けて開催されますが、やはりどうしても若冲の《動植綵絵》が気になります。
展示予定は11月の第1期に8幅、来年5月からの第4期に4幅だそう。一挙30幅を期待してましたが、やはりなかなか簡単には出てきませんね。
安心してください。30幅出てますよ。
場所は相国寺承天閣美術館、ただ今開催中の企画展「若冲と応挙」にて複製の動植綵絵が絶賛公開中。
そしてこちらは本物の《釈迦三尊像》も同時に。
相国寺が所有していた若冲の名品のうち、釈迦三尊像のみを残して動植綵絵全30幅は宮内庁に寄贈されたのは御存じの通り。
その後は、複製の動植綵絵を法要のときなどに出していたそう。今回の企画展には、その30幅全てが一挙公開されたわけです。
実は私は、これが出ているとは知らずに当展へとやってきた次第。いつものように靴を脱いで上がり、入館料払って展示室に入って吃驚仰天!
なんと、三の丸尚蔵館へ寄贈したはずの動植綵絵が全点あるではないか!
当然のことながら、キャプションには「コロタイプ」なる付記がありレプリカだとわかるわけですが、これがもう、本物と寸分違わぬ驚異的な出来栄え。
コロタイプなる複製法は全く知らないけれど、目の前のガラスケース内の動植綵絵は、まさに去年藝大美術館で見た本物と何ら変わらないのです。
所詮は複製だろと言うなかれ。相国寺複製と尚蔵館本物を並べて、どっちが本物かのクイズに正解するのは至難の技です。
嘘だと思ったら、承天閣美術館へ今すぐ行ってみてください。本企画展、Ⅰ期とⅡ期に分かれており、動植綵絵が出てるⅠ期は11月12日までです。
あんまり複製で大騒ぎしちゃいけませんね。反省。当展、もちろん本物の名品もちゃんと出ております。
前述した《釈迦三尊像》は、珍しい若冲の仏画三幅。文殊、普賢の二菩薩を脇侍に、中央のお釈迦様はドデカく鎮座されてます。
退色もなく大判なので迫力あり。必見ですが、若冲の仏画に面白味はあんまりないですな。
Ⅰ期の目玉は応挙の《七難七福図巻》です。
人の一生には天災、人災が降りかかりもすれば、福寿が待つこともあるという教えを描き出した絵巻で応挙36歳の作品です。
天災巻では地震や水害、大火事にあわてふためいたり、大蛇に腰を抜かす村人が滑稽感も含めて描かれます。
恐ろしいのは人災巻。追剥ぎが旅人を襲って身ぐるみ剥いで惨殺するシーン、その盗っ人もやがて捕まり、股裂きや鋸挽きの刑に処せられるシーンは応挙とは思えない無惨絵です。
そして、福寿巻では優雅な宮中人、花見や豊作で嬉し楽しの民草が描かれハッピーエンドとなります。
私もですが、この絵巻を初めて見た人は、応挙にこんな作品があったのかと驚かれると思います。
Ⅰ期は残り少ないですが間に合う方は是非。
Ⅱ期は11月19日からで、こちらも金閣寺から若冲の障壁画50面がやってきますので乞うご期待。
承天閣美術館は柔らかいカーペット敷の上をスリッパ履かずに見て回る形式で、疲労感が和らぎ誠に心地よいのが好きです。
地下鉄で来るもよし、市バスで来るもよし、交通の便も良好なのでお勧めの美術館です。
合わせて相国寺拝観もお忘れなく。今回私が訪問時は法要でお堂には入れませんでしたが、HPには臨時休業告知もありますのでチェックしてからどうぞ。