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開館15周年記念 800年遠忌記念特別展 運慶 鎌倉幕府の三浦一族

開館15周年記念 800年遠忌記念特別展 運慶 鎌倉幕府の三浦一族

横須賀美術館|神奈川県

開催期間:

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鎌倉武士と運慶

横須賀美術館で開催されている「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」を鑑賞しました。奈良で活動していた運慶がなぜ鎌倉(周辺)で多数の仏像を作ることになったのでしょうか。運慶(慶派)の作風が鎌倉武士の気風に合致したのではないか、若かりし運慶が新たな時代の到来を感じ、その中心地である鎌倉での創作を選んだのではないか、などの解説を読んだことがあります。今回の展覧会を見て私が感じたのは、鎌倉武士と運慶の双方に、新たな時代(の新たな文化)を作ってやろう、という意気があったのではないか、ということです。明日の敵味方や生死さえわからない時代を生きるため、とてつもないエネルギーを必要としたであろう武士たちと、今までにない仏像を制作するために大きな熱量を求めていた運慶がひかれあったとしても不思議は無いと思います。
運慶仏の特徴として挙げられるのは、顔(表情)・体躯・動き(ポーズ)などのようですが、私が印象に残ったのは、顔の大きさと手(腕)の動きです。まず顔の大きさについてですが、頑丈でふくよかな体つきと比べて、やや小さく感じる顔(頭部)の大きさが、劇画的にも感じられる目の表情をさらに印象付けているように感じました。これ以上小さいと逆に人間味がなくなってしまう、ぎりぎりのバランスで制作したのではないかと思わずにはいられません。次に手(腕)の動きについてですが、人間が日常では行わない、筋肉・関節を可動域ぎりぎりまで動かしたポーズになっています。例えば、浄楽寺所蔵の不動明王立像の右手ですが、ひじをこの角度でまげながら、剣を握る右手首をこの位置にするには、右腕全体にかなり負荷をかける必要があります。同じ浄楽寺所蔵の毘沙門天立像の右手も、腕の上下は違いますが、ひじ・手首に同様の負荷がかかります。また、宝塔を持った左手も、この位置で奉げるには手首に相当の負荷をかけなければなりません。曹源寺所蔵の十二神将立像(巳神像)の腰にあてる左手の位置も同様です。
このように、人間さながらの表情・動きをしていながら、どこか人間を超越している部分を感じさせるぎりぎりの表情・動きこそが、それまでの歴史・伝統に縛られない新しい時代・社会が求めたものだったのかもしれません。私は、運慶の作った仏像を通して、鎌倉武士のむせかえるような息遣いを感じたような気がしました。

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