
ミロ展―日本を夢みて
Bunkamura ザ・ミュージアム|東京都
開催期間: ~
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ミロ、美露、見ろ。これが愛だ。
明日でBunkamuraでの展示が終了になるため、滑り込みで鑑賞することにした。生憎最終週の毎日16時以降に配布予定だったポストカードが前日に予定枚数終了になっていたことに肩を落とすも踵を返さずに入場した。
混雑具合から空いているコーナーを見つけては鑑賞していたが、なるほど時系列や作風の変化に沿った展示順が施されていたのか、突然流れが変わり驚いてしまう場面が何回かあった。それも鑑賞の醍醐味だ。逆にそうしなければ、展示方法の工夫に気付けなかったとも言える。
浮世絵や書画などの日本文化や芸術に感銘を受けたミロの作風は、彼の中でじっくりと育てられ作品に投影されたことを物語る。
絵巻のように描かれたり、作品に墨が占める範囲が徐々に増えることも、その一つだ。
どの作品も西洋美術はかくあるべき、という固定概念を覆すには十分な存在感であった。それほどまでに日本の美術を愛していることが伝わる。それは当時周りにいた者なら尚更感じ取っていたのであろう。瀧口修造が「美露」の刻印を贈ったり、ミロのいるところに駆けつけたり、ミロへ詩をしたためたりしたエピソードを知ったとき、そう感じた。愛は原動力。それに影響され周りも動き出すのだろう。
かくいう私も、その愛に当てられて、初めてここで鑑賞レポートを書いている次第だ。恐ろしい影響力だ。
そんな中理解に苦しんだのが、牛乳瓶あるいは瓶詰めを思い浮かべるシルエットの作品の題名が「人間」だったというところだ。最早我々の理解力では到底及ばないのかもしれない。
全体的に満足感のある展示会であったが、惜しむらくは、2度目の日本来日から戻った直後に描かれた、墨を大胆に施した作品がグッズに反映されなかったことである。私の中では一番あの作品が今回の目玉作品と太鼓判を押せるものだと思っていたので、その期待からの落差は計り知れない。次の巡回先では是非クリアファイルなどグッズ化してほしいものだ。