庵野秀明展
あべのハルカス美術館|大阪府
開催期間: ~
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庵野秀明の創作への熱量にふれて
アニメや特撮をほとんど知らない私でも、展示された山のような画コンテや模型などを見ていると、撮影の裏側を覗いているかのような感覚を味わうことができて自ずと気持ちが昂った。もっとも、来館者の方々には庵野氏やその作品のファンも多いと思うので、そういった人たちの熱いまなざしと期待感にも自然と刺激されていたのだろう。
庵野秀明の名前を認識するようになったのは、劇場版完結ということで話題になった先ごろの「シン・エヴァンゲリオン劇場版」。監督を追ったドキュメンタリー番組などを見て、また謎めいた作品世界の作用も相まって、掴みどころのなさそうな人物だなという印象を受けていたので、「庵野秀明をつくったもの」「庵野秀明がつくったもの」「そして、これからつくるもの」という視点から構成された今回の展示は、庵野秀明への理解を深めるためにはまたとない充実した展覧会だった。
原点から現在までを多様な資料や映像で総覧できる本展。なかでも庵野氏が学生時代に制作した映像作品やアニメーターの仕事などからは作品制作への熱量と愛情がひしひしと伝わってくる。この機会にしか見ることができないものだろうと思うので、じっくり鑑賞してほしい。味わいがあって引き込まれたし、なるべくして今の庵野秀明になったのだな、と納得させられた。
また、こういった庵野秀明の姿は、いま創作を志す人々にこそ突き刺さるのではないだろうかとも思う。自分をつくったもの、自分がつくったもの、そしてこれから何をつくりたいのか――。何かを創りたいという思いを抱く人には、展覧会を通じて創作者としての「自分」を位置づけながら、ぜひとも未来への糧を得る場にしてほしい。