ピーター・シスの闇と夢
練馬区立美術館|東京都
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鉄のカーテンの中で育った想像力
チェコ出身の絵本作家の作品展。
ピーター・シスの絵本を読んだことがなかったのですが、ぜひ手に取りたくなりました。
また、シスの体験やおかれた環境を絵の背景として知ることができ興味深かったです。
シスの子どもの頃のチェコは、ソ連下にあり、自由に表現することが認められていませんでした。鎖国のような状態で、鉄のカーテンの中で人々は暮らしていました。
しかし、映像作家の父は海外へ行くこともあり、他の国のことを息子に話し、息子が表現することを励ましました。学校では決まった通りにしか描けなかったが、家の中では創造することができたという環境が、シスの絵を生んだのだと想像します。
チェコではアニメーションが文化として認められており、シスはまずアニメーションで世に出ることになりました。
展示にもシス作アニメはありましたが、暗い印象を受けました。訴えたかったことや当時の雰囲気がちりばめられているのでしょうか。
アニメーションをきっかけに渡米が叶い、やがて移住することになります。
「ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー誌」
細かい点で描くことでオリジナルな地位を確立。
他の絵もそうですが、細かい絵や描きこまれたものが多く、細かく描くことが苦ではなかったのだろうなと思う。
「コモドッ」「マドレンカ」
シスが息子や娘のために描いた絵本。
哲学的な絵本だけでなく、子どもたちが本当に喜ぶものをということで作成。
確かに子どもに読んであげたくなる。
「チベット 赤い箱のひみつ」
シスのお父さんがチベットへ仕事で行った時の話から作成した絵本。
共産党に発見されるのを恐れ、赤い箱に思い出をしまっていたらしい。
しかし、シスは繰り返し話を聴き、異国の風景を想像していたのだろう。
想像する力が、このような作品になり素敵だと思う。
また、ガリレオやダーウィン、サンテグジュペリの生涯をモチーフにした絵本も。
子どもたちに勇気を持ってもらうために、彼らにも子どものころがあったということが伝わるようなものだそう。
絵本をぜひ手に取りたいと思いました。
展示としてみるだけでなく、絵本として手元に置いてじっくりみて発見していくのに適していると思います。
ミュージアムショップも充実しており、嬉しかったです。
クリアファイルや栞、バッヂなどシスの絵がおしゃれにグッズ化されてました。
もちろん、絵本(日本語だけでなく他の言語も)もありました。