塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記
世田谷美術館|東京都
開催期間: ~
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塔本シスコ展
塔本シスコさんは今回の展示会で初めて知ったのですが、シスコさんが53歳から絵を描くきっかけになった出来事とそれからの生涯、そして世田谷美術館での展示に至った経緯を感慨深く拝見しました。
自身の事になりますがつい先日、長年同居をしていた祖父が病気で他界しました。あまりにも急な事に家族は悲しみにくれていたのですが、半世紀以上をともにした祖母はそれ以上に気落ちしており、家族の不安も束の間に祖母は祖父の納骨が終わった次の日に自宅の廊下で倒れ、脳梗塞が発見され間もなく祖父を追うように息を引き取りました。
シスコさんもご家族を亡くされご自身も体調不良がありながらも絵を描き続けた経緯を知りました。人生をそのまま描いた絵日記のような作品を拝見していると、自分の最近の出来事と重ねてしまい、シスコさんの人生を追体験するような感覚を覚えました。失意の中でも周りの方の支えを受けながら自分自身を奮い立たせるように前を向きながら絵を描かれていたと想いを馳せるようでした。
目を奪われるような彩度の高い色使いと表情豊かな人物や想像もつかないような構図など、規定の概念にとらわれない柔軟な発想のシスコさんの作品は、ほとばしる情熱に溢れていて作品にふれる全ての人に影響を与えるような生命エネルギーを発していました。
自身の家族の事やこれから先の人生について思い悩んでいる中で、自分の張り詰めていた気持ちもほぐれ、非常に勇気をもらい前向きな気持ちになりました。
社会情勢の不安で悩む人が増える中、失意の中にいる方に見てほしいです。
きっと前を向くエネルギーをもらえる、そんな展示でした。