ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント
東京都美術館|東京都
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静かで、力強いゴッホの名画
オランダの実業家の妻であり、世界最大のゴッホ作品の個人収集家となったヘレーネ・クレラー=ミュラー。彼女が長い年月をかけて収集した作品群の層の厚さと、彼女の審美眼に感心した。
へレーネが「天国のようだ」と深く感銘を受けた《レモンの籠と瓶》。黄色をこれほど自在に扱えるのはゴッホにしかいないと思える程、その美しい色彩に圧倒された。
ゴッホの油絵はもちろん、確かな画力を感じる素描にも惹かれました。特に良かったのが《コーヒーを飲む老人》。モノクロームの美しさに心奪われた。
《緑の葡萄園》は奥行きと高さの広がりがあり、中の世界に引き込まれるような錯覚を覚えました。ずっと眺めていたい作品です。緑の葡萄畑とその上に広がる青空、そして畑の中を歩くご婦人達の赤いパラソルの色合いのコントラストも素晴らしかった。
《種蒔く人》の優しい色合いと力強いタッチからは元気をもらい、ただただ純粋に「何と美しい作品なのだろう….」と感動した。
本展のポスターにもなっている《夜のプロヴァンスの田舎道》。神秘的な色合いと、うねるような曲線に見惚れる一方で、何となく心がざわついたが、「糸杉」はお墓があるところに植えられる木で、「死」を象徴するモチーフだと知り、妙に納得した。
ファン・ゴッホ美術館からの作品も加わり、ゴッホ作品の軌跡を辿れ、見どころがいっぱいの展示だった。時に静かに、時に強く、心を揺さぶられつつゴッホの作品を楽しんだ静かな秋の昼下がりだった。
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