ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ
SOMPO美術館|東京都
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いつもはバイプレイヤーだけどね
タイトルの「コローから印象派へ」で、いつもの印象派展だと思って行くと ? ってなるかも…
悪口みたいだが、いつも脇役の、コローとブーダンを、まとめて観られて満足。
会場は、ざっくりと、5階がコロー、4階がブーダン、3階がモネ、ルノワールなど。
コローって、どんな画家?
カミーユ・コロー(1796 - 1875)は、19世紀のフランスの画家。
「風景画」というジャンルを確立したひとり。
家は毛織物業で成功していて、裕福だったみたい。
コローの父親は家業を継いで欲しかったけど、絵ばっかり描いて、ちっとも身が入らないので、仕方なく画家になるのを認めた。
それが、コロー26歳。
時代は新古典主義。美化された「歴史風景画」を描くことがいいとされていた。
コローも、それを目指していて、さらに腕を磨きたいと、3年ほどイタリアへ。古代遺跡に富む風景を夢中で描く。
そんなコローが認められるのは、50代中ごろから。
59歳でドラクロアやアングルを制して、万国博覧会でグランプリを受賞。人気は最高潮に。
コローの柔らかな光に包まれた、詩情豊かな風景画は、「 銀灰色(ぎんかいしょく)」と呼ばれ、「コロー色の布地」まで売り出されたとか。
風景画のイメージが強いコローだが、人物画もいい。
今回、展示されてないが、ルーブル所蔵の『真珠の女』は、彼の代表作。美しい女性が、モナリザのようなポーズで描かれている。
魅力的な女性を描くコローだけど、生涯独身だった。
女性に、うつつを抜かしてる場合じゃないと、自分を律していたみたい。優しい性格で、実は押しが足りなかったのかも?
優しいと言えば、ドーミエや、ミレーの未亡人、普仏戦争で苦しむ人たちを援助していたらしい。
コローの優しい森の風景を十分に堪能したあとは、コローが「空の王者」と呼んだブーダンだ。
ウジェーヌ・ブーダン(1824-1898)もフランスの画家。
彼の絵って、どれも同じ構図。画面の3分の2が空。
また悪口っぽくなっているが、それがいい。
めずらしく、海じゃなくて、空と牛の群れの大きな作品があり、1番長い時間眺めていた。
ブーダンは、16歳年下のモネを、屋外へ連れ出し、外で描くよう勧めたらしい。
でも二人の描く風景は全く違う。
ブーダンは美しい風景をそのまま描き、モネは、そこに注がれる光までも描こうとする。
「風景画」が変わっていくのがよくわかる展覧会。楽しめた。