新春特集展示「うまづくし─干支を愛でる─」
京都国立博物館|京都府
開催期間: ~
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コレを見れば、きっと今年はウマくいく!
1月3日 京都国立博物館 新春特集展示「うまづくし─干支を愛でる─」に行ってきました。
撮影NG
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《事前知識(屏風の数え方)》
・折り畳まれる各板→扇(右から第1〜6扇)
・組立て後の扇の数→曲(2、4、6曲が主)
・個々の屏風→隻(右隻、左隻)
・屏風2隻セット→双(1双が主、今回2双あり)
例1 板6枚の屏風2つ→ 6曲1双
例2 板2枚の屏風1つ→ 2曲1隻
年が明けた2日、年賀状は来ないことはわかっているのに、ついつい癖で郵便受けを覗くと、ART AGENDAさんからのお年玉(チケット)が届けられていました。
誠にありがとうございます。こいつぁ、春から縁起がいいわえ~。
というわけで、さっそく、1月3日に京都国立博物館(京博)に行ってきました。
会場の入りは、いつもの特別展と同じくらいの盛況ぶり。人気の高さがうかがえます。 もちろんお目当ては「馬」ですが、テーマは「京博のお正月」。馬以外にもおめでたい名品が多数展示されていました。
その中で、気に入ったものが、銅鏡の周りに8つの鈴がついている【八鈴鏡】で、小ぶりながらもなかなかの存在感。鈴が付いているということは、単なる儀礼用の置物ではなく、実際に振って音を出していたのかもしれませんね。 さらにその傍らには、巨大な銅鐸が鎮座していました。ただの無機物のはずなのに、圧倒的な「圧」を感じます。当時の職人たちの工業デザイン的な才能には、凄まじいものがあります。
さて、「馬」です。
気に入った作品について心のままに感想を書いていきます。
【埴輪 馬 伝茨城県旧筑波郡出土】
九州国立博物館で一番のお気に入りだった埴輪馬くんが、京博にもいらっしゃいました。大きさは同じくらいですが、装飾が少し異なります。私の一押しポイントは「足」。4本の円柱が突き出したようなフォルムが、ぬいぐるみのような愛らしさを出していてたまりません。
【駿馬図 景徐周麟賛】
室町幕府第11代将軍・足利義澄が、初代尊氏を偲んで描かせた一幅。約180年も前の先祖を偲ぶ感覚は、江戸時代に家康回帰が起きた例などを見ても、さほど不思議なことではありません。ただ、偲ぶ対象がなぜ「馬」なのか?という疑問は残ります。ここで尊氏の肖像画でも描いておけば、後の世に「伝尊氏像(今は騎馬武者像でしたね)」を巡る論争も起きなかったでしょうに。実際の絵を見てみると、よっぽど特徴を捉えていない限り、馬の姿から先祖を偲ぶのは相当難易度が高そうです。
【厩図屏風, 2曲1双, 京都・本圀寺】
「良いものを手に入れたら自慢したい」という数寄者の性分は、今も昔も変わりません。描かれているのは厩(うまごや)、つまり馬小屋。屏風1扇につき2頭ずつ、計8頭が整然と並んでいます。右から栗毛、青毛、芦毛……と競馬でお馴染みの毛色が続き、現実の馬のイメージが生き生きと浮かんできます。そしてそれを眺める数寄者たちは、馬小屋と人一人分間隔をあけた座敷席で馬を眺めつつ、囲碁や将棋で遊んでいるなんとも優雅な様子が描かれています。また、こうした馬の絵を見かけたら、ぜひ「猿」を探してみてください。高確率で描かれています。これは「厩猿(うまやざる)信仰」といって、猿が馬の守護神だと信じられていたためです。猿が馬を守るという発想は、もしかしたら『西遊記』の斉天大聖とも関係があるのかもしれませんね。
【業平東下り蒔絵香枕, 1基, 京都国立博物館】
在原業平の東下りの話はいろいろな作品で表されています。最近も屏風で八橋と布引を見たばかりでした。この枕は、富士を見た様子が描かれており、馬の上から業平は富士を仰いでいた。この馬の歩き方がテイオーステップ(※)に見えてちょっと面白く見てしまいました。
※ 競走馬「トウカイテイオー」がレース前にしばしば見せたステップのこと。
【楊妃撃丸図, 1巻, 京都国立博物館】
中国・明時代の作品。驚いたのは、当時の中国ですでに「ポロ」が行われていたことです。しかも男女混合、さらに騎乗服ではなくヒラヒラの衣装……凄すぎます。人に対して馬がかなり小さく見えますが、サラブレッドしか馴染みのない私たちが感覚バグを起こしているだけで、モウコノウマならこの縮尺で正しいのでしょう。馬の脚運びによって動きの差がうまく描き分けられていました。
【賀茂競馬図屏風, 6曲1双 重美】
右隻に競馬(くらべうま)の準備風景、左隻に本番の様子を描いた作品。右隻で目を引くのは、馬ではなく、馬を洗う人々の「赤ふんどし」です。差し色の威力を、まさかこんな形で実感するとは思いませんでした。第2扇と3扇の間が「最近景」になるので、そこで屈んで鑑賞すると、上賀茂神社へと続く広場の遠近感がパッと開けます。 左隻は、レースを展開する2頭を中心とした同心楕円状の構図。第3・4扇の間に座る貴族と目線を合わせると、臨場感が一段と増します。よく観察すると、馬ではなく「相手の乗り手」を鞭で攻撃しており、当時の荒々しい勝負の様子が伝わってきて面白かったです。
【群馬図屏風 雲谷等顔筆, 6曲1双, 奈良・南法華寺】
馬2頭を主役として、他多数の馬たちと落ち合う様子2幕を描いたものでした。右隻は第4扇あたりで左から右に2頭が近づいていくもので、道が右上に向かい第2扇あたりに一団が屯っていました。屯している馬たちは、いずれも古強者のように威厳を感じるたたずまいでした。
構図としては、第1扇に斧劈皴を置き、左に向かって近景となる、水墨画の定型的な構図となっていました。左隻は第4,5扇あたりに屯している一団に第1扇から2頭が向かっている様子第4扇までは真横に伸びる道、第5扇で折り返すように左上に上がっていく道、これにより奥行きをうまく出すことができていた。描かれた馬はちょっとふくよかな感じで足が少し短いかなあと非常に親近感がわくフォルムでした。
【駿馬図屏風 塩川文麟筆, 6曲2双, 京都国立博物館】
とにかく一扇がデカい!そして1頭1頭がデカい!もしかして実物大ではないでしょうか。この絵は離れて、展示室の入口付近の柱のあたりから眺めるのが正解です。内側の馬たちが駆け出す様子は、どこか原始的な力強さを感じさせます。それこそ、ラスコー洞窟の壁画に描かれた動物たちのような、いいように言えば躍動感に満ちた、悪く言えば原始的な走りの描き方でした。
午年の本年、「馬」を主役に据えたこの展示、期待以上に多様な馬たちの姿を楽しむことができました。力強い軍馬から、ぬいぐるみのような埴輪、そして赤ふんどしの男たちに洗われる馬まで。時代や国が変わっても、馬が人々の暮らしやイベントのそばにいたことを再確認できたお正月でした。素敵なチケットを届けてくれたART AGENDAさんに、改めて感謝いたします。
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