生誕100年 昭和を生きた画家 牧野邦夫 -その魂の召喚-
美術館「えき」KYOTO|京都府
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牧野邦夫の群像
油絵3連発の最後は牧野邦夫。
自画像が多い画家で、その理由は自分がモデルだと時間を気にすることなく好きなだけ描けるから、というのが面白かった。というわけで、登場人物として牧野が繰り返し絵に現れる。そして顔の圧がすごい。人の顔を覚えるのが苦手だが、さすがに牧野の顔を覚えた。なんか森村泰昌さんみを感じた。モリムラ@ミュージアムと抱き合わせて行けばよかった。
レンブラントに影響を受けたということで、単独の肖像画のドラマチックさ加減はやっぱりレンブラントみを感じる。が、レンブラントは群像画も残していて、牧野にもたくさんの人物が描かれている絵がある。顔の圧が強い人物と、同じトーンで大量に描かれた人物(の顔)のコントラストが面白い。牧野は画壇とは無縁で個展を開くたびに熱心なコレクターが収集していたとあったが、その心理がなんとなくわかった。描かれた一人ひとりの人物を観察したくなる。持ち主はどんな部屋に置いて、どんなふうに鑑賞しているんだろう。
タッチはリアリズム系。しかし、特徴的なのはそのモチーフ。リアリズムのタッチで非現実的、幻想的な光景を描いていく。澁澤龍彦の本の装丁や挿絵を扱ってほしかった。景色は時にぐにゃぐにゃに歪んでおり、草間彌生みたいに、牧野には世界がそんなふうに見えていたのか、と思う。
そして芥川龍之介の作品をモチーフにした絵があったのが面白かった。
「奉教人の死」。切支丹物の作品であるが、紅蓮の炎は「地獄変」っぽかったし、作品の一節が縦に書き込まれているのも東洋っぽさを感じた。
「南京の基督」。宋金花は成熟した女性として描かれている。原作には金花が夢を見るシーンがあって、それを加えてあったらもっと幻想的になるのに、と思ったが、絵の金花にとっては、天国の食卓で御馳走を食べる夢は子どもっぽすぎるかもしれない。
「ジュリアーノ吉助」。最後に吉助の口から咲く百合が小さすぎて、そこに作品への批評性があるような気がする。
いつかレンブラント×牧野邦夫展やってほしい。見比べながら鑑賞したい。
今回、鹿子木孟郎、小出楢重、牧野邦夫の油絵3連発で鑑賞したが、画家ごとの特徴が捉えられた気がしたし楽しかったのでよかった。