美しいユートピア 理想の地を夢みた近代日本の群像
パナソニック汐留美術館|東京都
開催期間: ~
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20世紀の先人たちの求めたものを辿りつつ、今の私たちが求める「美しさ」を探る
今展、私はパンフレットを一見しただけでは、全くピンと来ず居りました。「ユートピア」??「どこにもない場所」?? 宮沢賢治にウイリアム・モリスに夢二? 民芸運動?? 美術館のコメントによれば「急速な近代化が進むなか、美しい暮らしを求めた20世紀日本のユートピアの姿を、絵画や築図面、工芸などの作品や資料約170点からたどる」云々。「混沌とする現代にあって、あらためて未来のユートピアとはどのようなものかを思い描く方法を探る」展示なのだそうです。なんだかちょっと難しそう、などと思いました。今回私が出かけたのは、ウイリアム・モリス、家具・インテリアデザイナー森谷延雄氏、民俗学と建築の今和次郎氏、建築家磯崎新氏、夭折の画家松本竣介氏と池袋モンパルナス、など、みな自分の感性に大いに響いている人々の名を資料に見てのことでした。それから今展は、同館でちょうど6年前に開催された「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展の続編として、企画されたそうで、その展覧会は確かに見ました。ブルーノ・タウトはじめアントニー&ノエミ・レイモンド、剣持勇、イサム・ノグチ、などなどの作品や資料や写真類が並び、私の大好きな家具、特に名椅子の数々の展示に結構ワクワクで見たことを覚えており、そう思うと今展もちょっと期待が湧いてきたのでした。
平日遅めの午後、空いてはいましたが、そこそこの観覧者が居ました。熱心にメモを取る人も‥。外国の方も‥。残念ながら館内はき全撮影禁でした。実際会場は、「ユートピア観測所」のコンセプトなのだそうですが?? 細かな間仕切りがされ、いつもよりちょっぴり窮屈感のある展示になっていて、資料保護のためでしょうが、ところどころ照度が落とされており、また各所に解説文が非常に多く、思った以上に時間が必要でした。古書・書類・写真・図面、資料的な展示が割合多くありました。工芸好きで、また建築の仕事に関わって来た自分としては、それなりに楽しい展示でしたが、やっぱりちょっと難しい!! の実感でした。「美しさ」にまつわる芸術、装飾工芸、建築デザインで、ジャンルを越境した20世紀の先人たちの求めたものを見つめ直しながら、私たちは、今のこの時代にあってここにある課題と、暮らしの中に息づく小さな理想を、紡ぎ合わせる作業を、諦めず、続けていきたいもの、ですね。「ユートピア」は思い描けなくとも。
今展は、イベントとしてスライドトークの他、講演会や無料(予約制)のコンサートも催されるなど、また蔵田周忠《森銑三邸》(星芒書屋)のMRによる再現(指定日指定時間に指定場所でヘットセット装着)、などなどジャンルの垣根を超え「美しい」を体現できる、を目指されていた様です。今展をしっかり味わうためには、様々なイベントの指定日時に合わせ(予約が必要なものは予約し)て、まあ2回くらいは出かける覚悟が必要だったかもしれません。