鑑賞レポート一覧

Perfume COSTUME MUSEUM

Perfume COSTUME MUSEUM

岩手県立美術館|岩手県

開催期間:

  • VIEW495
  • THANKS2

素晴らしい造形美、これは観ておくべき

今まで観てきた衣装展の中で、これはダントツ。
実在する人物が着て、動く姿をみられるからだろうか。
オートクチュールなど今まで観てきたメゾンの展示はどれも美しかった。
美しいのだけどリアリティがないというか、縁遠い世界に感じられたのだけれど、
そういった意味では、舞台芸術もリアルではないけれど、
これはダントツによかった。
なぜだろう。


Perfume 女性3人組のテクノポップユニット▼△▼
1999年に結成し、2005年に1st shingleをリリース、2007年ころからブレイク
特にファンではないけれど、3人の顔はわかるし、何曲かは口ずさめる。
前髪ぱっつん、こけしみたいな ”かしゆか” は、
雑誌Casa BRUTUSで、日本の伝統工芸を伝える「かしゆか商店」の店主として登場しており、
いつもロングスカートやワンピースで清楚な雰囲気。Gパンの時は意外すぎてびっくりした。
私の中で文化人の位置にいるので、歌って踊る人なことを忘れてしまう。

アーティストのライブやミュージックビデオは、総合芸術として興味があり、この展示には興味を持っていた。
兵庫県立美術館(安藤建築)から始まり、首都圏ではまだ開催されていないこの巡回展に、
岩手県盛岡市での5都市目のタイミングで建築鑑賞を兼ねてやっと行くことができた。

本展は、尖った最先端のファッション雑誌といえばの「装苑」が編集した『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』(文化出版局、2020年)を起点に、4章構成で約180着の厳選された衣装を展示。
2005年のメジャーデビューシングル「リニアモーターガール」の初々しい3人から始まる。
入った瞬間から”未来”を感じる。
はじめのこの衣装がSFチックなタイトな黒に原色のチューブがパイピングされているからか、
テクノだからか、3人からのトライアングル(三角形)や、幾何学模様が多いからか、
視覚として”未来”が伝わってくる。

その後、2008年には、あ〜ちゃん→膝丈 かしゆか→ミニ丈 のっち→パンツスタイルを提案し、以後確立。
トルソーの下には誰のものかわかるように、A / K / N の印がある。
テーマは同じでも3人違う衣装、この違いをみるのもなかなか面白い。
改めてみると、こんなに足を出す衣装だったのかとびっくりしつつ、
(私の中で、かしゆか商店のロングが定着している)
どの衣装も立体的でありながら、折り紙を思わせる構造美、造形美で半端ないオーラを放っている。
畳んで収納できるものなどないくらいの立体感で、パーツ数も多く、
プリーツは立体感を保つために裾に三角のパーツをあててあり、バルーンも裏地がしっかりつけられ、
カタチをキープするためのクリエイティブのこだわりが詰まっていている。
パフォーマンスの妨げにならないような構造や軽さをキープしながら、
早着替えや重ね着にも考慮しつつ、優雅な動きを見せるように設計されている。
ファッションは数学的だ。
縦糸と横糸で成り、切り出し方で伸縮の異なる生地を体の動きに合わせた形状に無駄なく切り出し、
動きの妨げにならないように縫製していく。縫製する系にも様々な種類がある。
無限の組み合わせの中から衣装が出来上がり、
3人はどんなに忙しくても必ず試着の時間をとって、実際に身に纏って動きをチェックしたとのことで、
チーム一体となって作り上げた思いが伝わってくる。
デザイン画やパターン、サンプル生地などクリエイティブの過程にも触れることができる。
企業秘密な貴重な資料だが、簡単には読み解けない。
所々に配置された映像では、実際に衣装を着て動く3人をみることができる。
衣装と映像、スカートの下を覗き込んで構造を確かめてを、美術館の監視員さんに怪しまれながら(?)
行ったり来たりを何度も繰り返した。

特に気になったのは、第2章止まらない進化の「LEVEL 3」の衣装
白地に赤・黄色・オレンジ・緑など色とカタチの異なる三角形が散りばめられている。
デザイナーさんがステンドグラスをモチーフにし、実際にガラスをばら撒いたものをヒントにグラフィックを構成。
ひとりずつでも、3人並んでも美しいバランスでレイアウトしたとのこと。
肩と両腰にプリーツがあり、動くと立体的に見えるのも美しい。
半袖、ミニの洋服なのだけど、レイヤーの具合が羽織袴のような優雅さがあって、
動いた際の見え方が想像力を掻き立てられる。これが2013年の作品かと思うとまた驚く。
私はミニマルを言い訳に、自分の着る服に無頓着になりすぎていたかもしれない。

テクノロジー×アートといえばのRhizomatiksとのコラボプロジェクトも魅力のひとつ。
ステージに立つ3人自身をプロジェクションマッピングの媒体としたものや光る衣装は、
Perfume→未来、を直球で表している。
これはアナログな衣装と、3人のダンスの美しさがあってこそ、魅力的にみえるもの。
どちらかだけだとこうはいかない。

メンバーセレクト「わたしたちのお気に入り!」では、3人の好みを知ることができる。
残念ながら私のイチオシの「LEVEL 3」はなかったが、発展版の「LEVEL 3」の方が2つ入っていた。

通して3人のコメントにあった通り、
約20年間、どんどん増える衣装を大切に保管していたことに、【愛】が感じられた。


盛岡で平日に鑑賞したこともあり、ほとんど貸切状態でゆっくり堪能することができた。
とても贅沢な時間だった。
これが東京だったらそうはいかない、大混雑なはず。
人生の半分以上をすでに東京で過ごしているけれど、岩手県出身として、この展示が岩手で開催されたことに感謝。
美術館にハードルを感じる人にでも、見やすい展覧会なはず。
年間200以上の展覧会をみているが、これはおすすめできる。

すっかり魅せられて、気が付けば2時間を超えていた。
東京で開催されることを切望、Perfumeのライブも生で体感してみたい。

THANKS!をクリックしたユーザー
いろあいさん、Sukekiyo-Acckermanさん

鑑賞レポート一覧に戻る

こちらの機能は、会員登録(無料)後にご利用いただけます。

会員登録はこちらから
SIGN UP
ログインはこちらから
SIGN IN

※あなたの美術館鑑賞をアートアジェンダがサポートいたします。
詳しくはこちら

CLOSE

こちらの機能は、会員登録(無料)後にご利用いただけます。

会員登録はこちらから
SIGN UP
ログインはこちらから
SIGN IN

ログインせずに「いいね(THANKS!)」する場合は こちら

CLOSE


がマイページにクリップされました

CLOSE マイページクリップ一覧を見る


がお気に入りに登録されました

CLOSE マイページお気に入り一覧を見る


を訪問済みに移動しました

CLOSE マイページ訪問済みイベントを見る

CLOSE

name

参考になりました!をクリックしたユーザー 一覧
CLOSE