特別展 鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―
広島市現代美術館|広島県
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「影」、「日常」、「性」を通じ、作家性をしっかりと感じられる展示
広島現代美術館自体が目的で、収蔵物などが見れればよいかなと思っており、写真の作品などにあまり興味がなかったので鷹野隆大さんも存じ上げず、失礼ながら正直「時間もないのでついでに、さらっと観ていこう」…という感覚で、入場チケットを購入しました。
まずは「影」を取り扱った作品が多いようで、いかにも現代美術っぽいなぁと思いながら観ていくうちに、どこか植田正治やヴィルヘルム・ハンマースホイのようなセンス・スピリッツ・系譜を感じたところから作品の意義を理解できた気がし、バシバシと魂に触れてくるような不思議な感触を覚えました。
作品の理解を促してくれた一つは、一角に観覧者の影をリアルタイムに撮影し出すカメラと映し出すスクリーンでした。それに自分の影が映り込むことで「撮影とは”影を撮る”こと」と突き詰めたような洗練さと、「影が持つ刹那性や脆さ」など様々なメッセージを感じ、何を映し出したいかが理解できた気がします。
加えて、白い影の作品がどういった風に撮影されたかを体験できる小部屋があり数十分ほどのローテーションで開催されているのも嬉しい限り。それを体験することで撮影の手法がわかるだけではなく、作品の一部になったような感覚を覚え作品が他人事ではなくなり、一層理解を深める装置になっているかと思われます。
他にも平凡な日常を切り取った作品もあり、過度に綺麗に映し出しているわけではないのが逆に生々しく、どこか脆さと緊張感を感じる。セクシャルな題材を扱われた作品もありましたがそれも決して綺麗では片づけられないリアリティさがありました。
また全体を通し小難しく感じもしましたが、入り口のごあいさつの文章内でご自身で「いい感じに退屈な展示になりました!」のような事をおっしゃって頂けたことで、肩の力抜きながら見れた一因になっていた気がします。
しっかりと「影」、「日常」、「性」と作品群が区分されていて見やすく、それでありながら一貫する作家性なども感じました。写真。映像、体験など多岐に渡った作品があり、元々あまり興味なかったのですが一気に好きになってしまうほど素晴らしい展示でした。
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