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特別展 没後50年 矢代幸雄と大和文華館 ―芸術を愛する喜び―

特別展 没後50年 矢代幸雄と大和文華館 ―芸術を愛する喜び―

大和文華館|奈良県

開催期間:

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原三渓トリビュート展

奈良に来て、奈良博、県美と回ってから、大阪市美の国宝展へと向かう計画だった。
県美を出た後、ランチし終えた時点で13時ぐらい。時間があったので大和文華館に行ってみることにした。
近鉄奈良線の学園前で降りて徒歩10分ぐらい。2回目の訪問だ。受付で当日券買って、木立の間を通る緩やかな石畳の坂を上って行けば館に到着。
海鼠壁のどデカい蔵みたいな建物は、広い前庭と相俟っていい佇まいだ。

やってた企画展は「矢代幸雄と大和文華館」。矢代氏は全然知らない方だけど、当館初代館長なんだそう。
なんでも当館設立に深く関わると同時にコレクション蒐集のイニシチアブを執ったとのことで、その審美眼に基づくお手並み拝見といった楽しみをもって臨んだ。

しかし、その内容は矢代が自ら探し求めて収集したコレクションというより、親交があって東洋古美術の薫陶を受けた原三渓コレクションをそのまま譲り受けたものがほとんどだった。しかも、根津美や永青の三渓旧蔵品、静嘉堂の岩崎小彌太旧蔵品、等々の文華館以外からの出展も相当数あった。
したがって、矢代の眼による当館への貢献をあれこれ論ずるにはいかがなものかという感が勝り、当展タイトルと実際の展示内容にはギャップがあったと言わざるを得ない。
矢代幸雄という人物にこだわりたかったキュレーターの気持ちもわかるが、結果がそうなってないので、たとえばタイトルに一工夫するとかの柔軟な対応も必要だったと思う。「矢代幸雄と原三渓」みたいなタイトルならまったく問題なかったのにね。

出展品は名品揃いでケチの付けようはない。だって三渓翁のコレクションだから(笑)
三渓以外にも益田鈍翁や松永耳庵なんて旧蔵者の名前も出てくるからますます矢代の影が薄くなる。
数寄者の眼力と大富豪の財力がいかにすごかったかのお披露目大会的様相もある。
国宝も重文もしっかり出展されてたのはOK。でもそれなら、せめて当館所蔵の国宝&重文は前期後期分けずに通期で出してほしかった。たかだか40日程度の会期だし。そこまでやっとけば、矢代没後50年というメモリアルイヤーをタイトルに付す意味もあったのではなかろうか。

私は後期に行ったので、国宝は《一字蓮台法華経》と《雪中帰牧図》の2点。前者は、この数時間前に奈良博で別の一字蓮台法華経を見てたので、親近感湧いてよかった。字はどちらも超美しいけど、蓮台にカスレがないぶん文華館のほうがきれい。三渓旧蔵。
後者も有名だけど、画面がかなりくすんできてるので国宝にしては地味な作品。鈍翁旧蔵。
前期の《寝覚物語絵巻》と《松浦屏風》の国宝2点と併せて通期展示で公開すれば、文華館の面目躍如だったのに惜しい。

重文にも名品がズラリ。ミホMから来た《焔摩天像》。地獄の十王の一人閻魔大王とは全然違ったお姿でもそのルーツはというと・・・。解説はミホMのHPでどうぞ。三渓旧蔵。
考古品では根津美から《饕餮文方盉》が来展。中国青銅器の重文は貴重で、根津は4点も持ってる中のひとつ。流石の逸品だ。なぜなら饕餮(とうてつ)がよくわかるから(笑)
江戸期絵画では光琳唯一の肖像画《中村内蔵助像》が珍しい。確かに光琳が人を描いたのは他に見たことないですね。

全体的な感想は、展示総数、特に美術品に限って言えばその絶対数が少ない。矢代の美術史家としての経歴を紹介する資料はほどほどにして、そのぶん空いたスペースには集めたコレクションを一つでも多く並べてほしかった。
私みたいな感想持ったかた、いると思うんですけど、実はもうひとつ展示数不足の原因がある。

ここの展示室はワンフロアの1室のみだけど広くてゆったりとしてるのはいいと思う。特に室内中央には坪庭があって自然光を取り入れた造りがユニークで面白い。
が、今回はそこがシートで4面完全に覆われてて風情がゼロ。結構な面積率なので実にもったいない。本来ならそこを囲むようにしての展示もできるのに、それもないので少ない展示品がますます少なく感じられ残念だったということだ。

期待してわざわざ寄った企画展だったが、とにもかくにもボリューム感に欠けてたのが致命的。タイトルと中身のギャップより、私はむしろそっちのほうが不満だった。
いっそのこと開き直って、原三渓から購入した美術品を徹底的に出し尽くせばよかったのではないか。
「私のことはいいから、三渓師にもっとSPOT当ててよ」と、矢代さんは言うような気がする。

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