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オルセー美術館所蔵 印象派ー室内をめぐる物語

オルセー美術館所蔵 印象派ー室内をめぐる物語

国立西洋美術館|東京都

開催期間:

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オルセー美術館の印象派コレクションがこの規模で来日は見逃せません

展覧会タイトルに「印象派」と付けば、多くの日本人は惹かれますね。11月中旬の平日昼前頃でしたが流石にやや混雑していました。勿論チケットは事前入手していたので、購入の列に並ぶ必要はないのですが、入場にはまた別の並びがある場合もよくあるので、ちょっとヒヤッとしました。が、こちらは今回はスムーズに入場出来ました。ただ、ロッカーが1Fは満杯、下階の方もほぼほぼ満杯の様で、誰かが戻って来るのを少し待ちました。冬になると手荷物以外にコートなども預けたいので。あと、最近はいつものことなのですが、ショップの入店待ちの列がものすごいです。あれを見ると私などはショップは諦めてしまいます。
印象派と言えば、戸外の風景の持つ光や大気の移ろいの「印象」を表現することを目指した絵画で有名です。でも今回の企画展は、その印象派が室内を描いた作品をメインテーマにしています。おっ! ちょっと面白そうだなと思いました。そうです。実際そう思って見ると、光と空気は室内にだってあるのだ、と実感できました。
音声ガイドでは、「19世紀後半は都市改造により、パリは急激に都市化した。同時に産業化・工業化も進み、人々の生活が、職場と住居とに明確に分かれるようになった。これにより室内の役割が変化した」と解説されていました。プライベートの場である室内は、窓から差し込むあわい日差しの様に、ごく自然な日常の情景を、飾らず隠さず描く、ほのぼのとして温かいものである場合もあれば、光が作り出す影・闇がある様に、急激に変化した生活と同様に、家族の心の距離やズレ、そこから生じる微妙な緊張感なども、そのままを捉えて描いていました。今まで見知っている作品も、そんな視点で見ると、結構新しい魅力に出会えたようで、とても楽しめ、ボリュームもそこそこあり、なかなか充実の内容でした。
日本が明治期、開国と西洋文化の流入による急激な変化の中、社会生活だけでなく、様々な芸術にも苦難の時代が訪れたように、パリではこの時代に、急激な都市化による社会生活の変化があり、それに伴って芸術の世界でも色々なことがあったのだな、などと、今更ながらに感じました。
会場内は最初の方だけ若干混雑していましたが、中ほどくらいからはゆったり苦もなく見られ、それなりにマイペースで楽しめました。絵画だけではなく画家たちがデザインした工芸品などや、絵画に描かれたコスチュームの展示などまであり、で、展示のバラエティーも楽しめました。何点か撮影可能な作品もありました。
友情やら意地やら作品に関する逸話もまたいろいろ紹介されていて楽しめました。ひとつ、音楽鑑賞の趣味を持っていたエドガー・ドガの描いた《マネとマネ夫人》なのですが、この話は結構有名で知っていました。ピアノを弾く妻の顔の描かれ方に(夫人自身ではなく) マネが憤慨し、カンヴァスを切断してしまったというのです。酔っているのか赤らんだ頬でソファーにだらけて座るマネの様子の方が、ピアノを弾く奥さんにも客にも失礼だと思うのですが‥。ルーヴル美術館のベラスケスの《王女マルガリータ》の絵の前で出会ったマネとドガ。二人は年齢も近く、共に生粋のパリジャンで、同じような階級出身でもあり、芸術談義もしたり絵を送りあったり、お互いに尊敬しつつも、遠慮なくものを言い合うとても良い関係だったのだとか。結婚前はともかく、なかなかの女好き浮気性で知られるマネが、またドガの女性を美化しない作風も十分知っていたマネが、奥さんの顔で何をそんなに怒ったのか、ちょっと気になります。再訪したマネの家で自分の作品に対するこの所業を見たドガはひどく怒り、この作品を自宅に持ち帰り、マネから贈られていた絵を送り返したのだとか。なのに何故かいつの間にかちゃんと仲直りもし、ドガは終生マネの一家と深く付き合いを続けたとか。ホント良かったですが、本当のところはいったい何があったのか‥。鋭い人間観察にもとづいた、心理劇の一場面のような室内画を描くドガ。もしかして本当は夫人は、ピアノを弾きながらもだらしのない一面を見せる夫に対して胸に一物抱いた表情をしていて、ドガが目ざとく感づいて隠さず描いてしまったとかでは? マネの怒りは実はドガに対してではなく夫人に対しての怒りだったとか?? 何れにせよマネとドガ、喧嘩するほど仲がいい、は良いのですが、絵を切断はないでしょう。そしてドガははたしてどんなふうに夫人を描いたのか…。人はみな詮索好きです。切断事件はセンセーショナルな逸話として絵の人気と価値をかえって上げると、後に画商が失われた部分のカンヴァスを継ぎ足ししたのだとか‥。画商って、やっぱそうなのですね。
穏やかな光が満ちる美しい室内、光と共にそこにある人々の心模様も、今展の見どころでした。年が明けると会期終盤。混雑するものと思われます。印象は好きの人は勿論、そうでもない人も、ぜひ今のうちに。コレクション展から入れる版画素描展示室の小企画展「物語る黒線たち―デューラー『三大書物』の木版画」も、とても良かったです。単眼鏡を持って、じっくり観て楽しみました。

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