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日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!

日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!

大阪中之島美術館|大阪府

開催期間:

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シン国宝かイグ国宝か

春の三大関西国宝展が終わったタイミングで、今度は国宝予備軍展が始まった。場所は大阪中之島美術館。前回の上村松園展に続いての訪問だ。
ゴッホ展を見た後、大阪城に寄り道して天満橋に出てそこから京阪電車で渡辺橋へ。渡辺橋駅からは地下通路とビル内を通って行くので屋外の距離は短くてすみ、猛暑や極寒の日は実に便利だ。その日は酷暑でヘロヘロになってたので、屋内冷房で生き返った。

いつものように長ーーーいエスカレーターで4階へ上がって会場へ。
いきなり出てくるのが当展の大目玉(ちょっとニュアンス違うけどw)の応挙&若冲コラボ屏風だ。こいつの感想はよくぞ発見したなあということに尽きる。
個別に見て両巨匠のNO.1作品かというと違う気はするが、合体したら無双のインパクトを誇る傑作だ。
対になってるのが鶏と鯉でいかにも若冲と応挙。この二隻の屏風をまとめて二曲一双として、《竹鶏梅鯉図屏風》とするならすぐにも国宝指定されるかも。
これが、蕭白と芦雪の合作だったらたぶん龍虎にすると思う。探せば出て来そうな気が。
おっとその前に福田美蘭さんがやりそうだな(笑)

当展での若冲作品で特筆すべきは昨年デジタル復元された《釈迦十六羅漢図屏風》。
現代テクノロジーの勝利とも言うべき快挙だ。それが見れる凸版印刷さんの美術館になかなか行けずにいたが、ここで会ったが百年目(笑) 
マス目描きの大作は、複製であって複製じゃないみたいな再現性で、お釈迦さまも羅漢たちも漫画チックな顔立ちがいい。

個人的には《乗興舟》が全巻広げて展示されてたのが嬉しかった。今回は京博所蔵のもので、過去に見た2点(久保惣美と千葉市美の)とも全巻開帳じゃなかったので国立博物館の寛大さに感謝。

先へ進みましょう。
奇想系の作品はどれもシン国宝にノミネートだが、出ました!最初のイグ国宝!
長谷川巴龍《洛中洛外図屏風》。一見よくある洛中洛外図で1mくらい離れて見ても特に変じゃない。
ところが、ガラスに近づいて細部を見ると、ナニコレ珍百景。建物の描き方がもうムチャクチャ(笑) 絵心ない人って昔も今もいたもんだ。

続いてのヘタクソ画は作者不詳《築島物語絵巻》。これ、令和のコミック漫画家が描いたと言っても不思議じゃないほどの、へのへのもへじ顔。
室町期から、よくぞ500年以上も残ってたもんだ。日本民藝館所蔵なので、柳さんの趣味かな? 参りました。

近代洋画にもナニコレ珍画がある。原田直次郎《素戔嗚尊八岐大蛇退治画稿》。
スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治する絵の左下から画面を突き破って犬の顔が!
もはや理解不能。重文《騎龍観音》の作者がまさかこんな絵を描くとはねえ。

シンかイグか判別に苦しむ絵もある。加藤信清の《五百羅漢図》と《阿弥陀三尊図》だ。これは文字で描いた仏画で、その字がアンビリーバブルなミクロサイズなのが国宝級。米粒に般若心経書く芸があるけど、あんな感じで羅漢と阿弥陀三尊を描いて(書いて?)るわけだ。(米粒に描いてるわけではない)
私なら国宝指定だけど、下手モノと取る人もいるかなあ(笑)

山種から来た落合楼風《エバ》も初見の大作。蛇にそそのかされてイヴ(エバ)が禁断の果実をもぎとろうとしてる場面で、六曲一双の屏風仕立てとなっている。旧約聖書の世界を描いた大正期の日本画は、ルソーみたいで見る者をひきつける魅力がある。
これもシンかイグかだろうけど、いずれは指定されると大予言(笑)

メインビジュアルの牧島如鳩《魚籃観音像》も初めて見る絵で、一見観音様を中心とした仏画なのだが、よく見るとその周囲にいるのは聖母マリアと天使ではないか。まさかの神仏習合&和洋折衷画は、これも不思議な魅力を有するシン国宝候補かな。
ちなみに如鳩は「にょきゅう」と読む。所蔵する足利美術館には3年前に行ったが、こんな名品があったとはね。

狩野一信や笠木治郎吉は過去にたっぷり見てるのでまた会えて良かったねとご挨拶。
前者はシンだけど、後者はイグっぽい。でも私は好き。

展示室のつなぎの部分には二つの現代風イグ茶室。
皆さん言及されてるので特に書きません。そばでは会場スタッフさんが、寄るな触るなと連呼してたのがオモロかった。

造形部門。
宮川香山はすでに重文になってるのもあるので、国宝にランクアップする作品が出てくるのも時間の問題か。
安藤緑山の超絶技巧も素材が象牙だけに、もうこれから後継者は出ないと思う。これもシン国宝派。

縄文土器は全部国宝でいいんじゃない?
埴輪や弥生式土器もひっくるめて、国立の専門美術館作ってもいいと思う。

そして展覧会ラストを飾るのは会田誠の「松林図見立て」。タイトルは《電信柱、カラス、その他》。
解説なければ等伯オマージュだとは全然わからんのだが、言われてみればそうかなってとこか。カラスが咥えてるモノみて驚かれぬように。
これは100年後の国宝かもしれない。てか、会田、山口、池田の藝大細密三羽烏作品は今すでにMY国宝ではある。

いろんな裏国宝が登場し、見てて飽きない楽しい展覧会でした。シンかイグか、皆さんの判定はいかがでしょうか。
当展を監修された山下裕二教授は辻惟雄さんに師事されたんですってね。奇想の系譜は師から弟子へと受け継がれてるのが頼もしくて喜ばしい。
山下先生の鉱脈展、第二段を大いに期待してます。

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Gregory1969さん、さいさん

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