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立山連峰を望む美しい美術館、14回目のトリエンナーレ
富山県美術館、初めての訪問です。広々と開けたガラス壁からは、運河公園、遠くに立山連峰を望む絶景。公営美術館あるある(失礼)の無粋な張り紙とかもなく、実に気持ちの良い空間。館運営のご努力を感じます。
1985年の創設以来、約40年にわたり3年毎のトリエンナーレ方式で開催されているポスター展が企画展として開催されていました。世界各国から集まった公募展で、展示数は約400点。色とりどりに飾られたポスターの回廊をゆっくり散歩するような感覚での鑑賞です。肩の力を抜いて、うきうき楽しく。
アート的要素が入るポスターになるので、自ずと、美術展や演劇、シアターなどのポスターが多くを占めるのは納得。また、日頃東京の街で目にする、即ち、日本人の感覚に充てた日本のポスターデザインとくらべると、海外のものに、攻めている感、エッジ感を抱きました。山田五郎さんが、具象と抽象のサイクルについて、世の中イケイケの時代には抽象が、そうでない時代には具象が、という循環ではないかとコメントされていたことを思い出して。日本社会全般が永い停滞の中で、気が付かないうちに、国際的には保守的に傾いていたのかと感じつつ。
地方の公立美術館の取組みとして、今回14回目と回を重ねるユニークなトリエンナーレは意義深いです。継続のチカラ、是非これからも大切に、と願います。
そのような期待感から少しだけ。ポスターは白壁にピン止めで貼られてますが、ピンの間隔が微妙にバラバラ(完全にランダムなら気にならないのだが)、また、ところどころにペーパーのたわみが目立つ貼り方もあり。400点もあるので大変ですが、魂は細部に宿る、と言います故にて。
別のフロアでは、1980年代、日本がイケイケだった頃のポスターも。糸井重里コピー+浅羽克己ディレクター+ウディ・アレンの西武百貨店「おいしい生活」(1982)、など。あの時代、日本は攻めてたなあ、と懐古します。
コレクション展は、近代西洋画、抽象画、インスタレーションを取混ぜて約20点の展示。ロートレック、シャガールの油彩画は見慣れた作風と異なり面白い。ピカソの新古典主義時代の白い肖像画、身長丈の藤田嗣治の乳白色女性、岡本太郎の油彩画、等々、数は少ないが見応えある作品で、楽しめました。