3.0
CLAMPの多彩さを紐解く
先ごろ実写映画化された『ホリック』の原作漫画が人生で初めて、かつ今のところ唯一購入して集めた漫画作品だった私にとって、これは観ておきたい展覧会だった。原作を読んだことがあるのは「ホリック」と「ツバサクロニクル」だけだったので、本展でCLAMPの手掛けた他の作品も知ることができた。
幅広いファン層をカバーするに足る描写や世界観の多彩さにまず唸った。可愛らしくきらきらした少女漫画的な表現にはじまり、躍動感や厳めしさ溢れる描写、はたまたデザイン的でスタイリッシュな雰囲気までも兼ね備えたイラストの数々は、その技量も含めて飽きることがない変容ぶりだ。とりわけ表紙や扉絵などのカラー原画は美麗さが際立っていた。
くわえてこの創作集団の頭文字をキーワード(Color/Love/Adventure/Magic/Phrase)に作品世界を紐解く構成もおもしろく、CLAMP作品を読み解く手掛かりとしてあらためて注目してみたいと思った。それでいえば、個人的にはそのような考察的な試みを多少なりとも本展の図録で展開してほしかったのだが、高額な割には小さな画像で会場再現をするに留まる内容だったのが残念だった。それはファン文化に委ねるということなのだろうか。