5.0
進むにつれ顔がゆるむ
チラシの絵の雰囲気を見て本展を楽しみにしていたのに、入館してすぐ自分が顔をしかめながら鑑賞していることに気づきました。せっかく大阪から名古屋まで来たのに全然楽しくない、怖い。。
黒くタールで塗られたようなとにかく大きい絵が並びます。モチーフも「死」を感じさせるようなものが多く、サッと見て帰ろうかと進んで行くと、次の章では、色や筆使いに大きな変化が。
極太の筆使いから柔らかい曲線に。
気持ちがほぐれて、さらに次の章へと進みたくなります。
キャラクターのような人物像がまた可愛いらしい。作品に描かれている人物にそれぞれストーリーがあり見入ってしまいます。
曲線はうねりを帯びて渦のように。筆使いも繊細でほのぼのとしたムードが漂っています。
ふわふわした優しい気持ちになり最後には頬がゆるんでいました。
これほどまでに一人の芸術家の試行錯誤と作品の変遷を体感できる美術展は珍しいと思います。最初のコーナーで逃げ出さなくてよかったです。