富本憲吉展のこれまでとこれから

奈良県立美術館

  • 開催期間:2023年7月8日(土)~2023年9月3日(日)
  • クリップ数:5 件
  • 感想・評価:2 件
富本憲吉展のこれまでとこれから 奈良県立美術館-1
富本憲吉展のこれまでとこれから 奈良県立美術館-2
富本憲吉展のこれまでとこれから 奈良県立美術館-3
富本憲吉展のこれまでとこれから 奈良県立美術館-4
富本憲吉展のこれまでとこれから 奈良県立美術館-5
色絵金銀彩四弁花文飾壺 1960年 国立工芸館蔵 撮影:米田太三郎
赤地金銀彩羊歯模様蓋付飾壺 1953年 奈良県立美術館蔵
色絵椿模様飾箱 1941年 京都国立近代美術館蔵
楽焼草花模様蓋付壺 1914年 奈良県立美術館蔵
白磁八角蓋付壺 1932年 国立工芸館蔵 撮影:エス・アンド・ティフォト
富本憲吉展のこれまでとこれから 奈良県立美術館-1
富本憲吉展のこれまでとこれから 奈良県立美術館-1
富本憲吉展のこれまでとこれから 奈良県立美術館-1
富本憲吉展のこれまでとこれから 奈良県立美術館-1
富本憲吉展のこれまでとこれから 奈良県立美術館-1

この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION

1973(昭和48)年3月、竣工した奈良県立美術館の開館を飾ったのは「富本憲吉展」でした。約400件もの作品により奈良県出身の日本近代陶芸の巨匠・富本憲吉(1886―1963)の足跡を振り返りました。それから半世紀の間、同館は継続して富本の活動を取り上げ、作品の収集に努めてきました。

富本の陶業は、楽焼制作を皮切りに土焼・白磁・染付と多様な創作活動を展開した大和時代(安堵時代)、それまでに培った技術を洗練させ、かつ色絵磁器へと作域を広げた東京時代、そして金銀彩技法を完成させ華麗にして品格ある作品を作り出した京都時代という3つの時代に分類されます。この50年にわたる陶業は、独自の模様の探求、造形を通した美の表現、量産の試みといった課題に取り組んだ道のりでもありました。

これまでに多くの展覧会が開催されるなかで、陶芸家としての業績はもちろんのこと、陶芸に留まらない創作活動の全容にも目が向けられるようになり、デザイナーの先駆者としての側面や窯業地に赴いての活動の様子など、多角的に研究が進んでいます。また日本近代美術において富本の果たした役割を考える視点からも、今後の研究の広がりが期待されます。

開館50周年にあたり開催する本展覧会では、富本憲吉をテーマとする奈良県立美術館の展覧会歴をたどりながら、彼の生涯と活動を改めて振り返ります。あわせてその軌跡が示す富本憲吉研究の展望を考える機会となることを目指すものです。

◆ 富本憲吉のプロフィール
1886(明治19)年、現在の奈良県生駒郡安堵町に生まれました。1904(明治37)年に東京美術学校(現・東京藝術大学)図案科に入学し、1908(明治41)年からはロンドンに留学。帰国後は木版画や書籍の装幀、染織品や革製品の制作などを手がけ、図案を軸にした芸術活動を展開しました。やがて親友のバーナード・リーチの影響で1913(大正2)年に楽焼の制作を始め、ほぼ独学で陶芸の道を歩み始めました。1926(大正15)年、東京に転居。白磁や染付を中心に充実した作陶を続け、1936(昭和11)年の九谷滞在以後は華麗な色絵磁器の作品を次々と発表します。終戦後は安堵への一時帰郷を経て京都に拠点を移し、金銀を同時に焼き付ける色絵金銀彩の技法を完成させました。1955(昭和30)年、「色絵磁器」で重要無形文化財技術保持者(いわゆる人間国宝)に認定され、1961(昭和36)年には文化勲章を受章しました。1963(昭和38)年逝去。「模様から模様をつくるべからず」という信条のもと、既成の模様によらず、独自の模様を創案することに情熱を注ぎました。また造形による美の表現にも着目し、作者自身が成形することの重要性を説きました。陶芸の近代化を牽引した作家の一人です。

開催概要EVENT DETAILS

会期 2023年7月8日(土)~2023年9月3日(日)
会場 奈良県立美術館 Google Map
住所 奈良県奈良市登大路町10-6
時間 9:00~17:00 (最終入場時間 16:30)
休館日 月曜日、7月18日(火)
※ただし7月17日は開館
観覧料 一般 400円(300円)
大・高生 250円(200円)
中・小生 150円(100円)
  • ※( )内は団体料金(20人以上)
    ※次の方は会期中無料で観覧できます
    ・教職員に引率された奈良県内の小・中・高校及びこれに準ずる学校の児童・生徒
    ・身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳をお持ちの方と介助の方1人
    ・65歳以上の方
    ・外国人観光客、留学生
    ・毎週土曜日は小・中・高校及びこれに準ずる学校の児童・生徒
TEL0742-23-3968
URLhttps://www.pref.nara.jp/11842.htm

奈良県立美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION

奈良県立美術館 奈良県立美術館

感想・評価 | 鑑賞レポートREVIEWS

5.0

富本憲吉の主要全作品鑑賞は圧巻

開館周年記念を開館第一弾の富本憲吉をとりあげた展覧会で、憲吉と同館の関係を掘り込んだ美術講座も拝聴し、いかに記念すべき展覧会であるか実感できた。展示は、180点もの圧巻の内容で、普段は過去にいくつかの美術館で行った憲吉展の図録でしか見たことのなかった作品を実見することができ、写真ではわからないスケール感(思っていたより大きいとか)と色味(思っていたより落ち着いた色味とか)を体感することができた(所蔵作品以外も多数!)。また、憲吉の製作を時代・作品のくくりで展示されていることにより、作家の芸術的変遷が分かりやすい展示であった。また、郷土画家として奈良の風景を愛した作家の思いも伝わってきた。しかし、なんといっても建築図案から入った憲吉の真面目な図案的文様である一方、手作りで一つ一つ描いていたというその手のぬくもりが直に感じられたことは直に作品を見なければわからないことだった。そして圧巻は、未完で終わった作品に対峙した時の、製作過程を体感できた時であった(羊歯文様を描く前の下図の線だけしか引かれていない部分が見える)。惜しむらくは、鑑賞時間が足りなくなりビデオを鑑賞できなかったことだ。聞くところによると、製作風景を動画で見ることが出来たらしい。できれば、将来の展覧会でも流していただきたい。

THANKS!をクリックしたユーザー
morinousagisanさん

4.0

奈良なら富本

 奈良県立美術館の開館50周年記念企画展であり、50年前の開館記念展と同じ「富本憲吉展」。奈良県出身の近代作家と言えば、富本憲吉が挙げられ、この企画には納得がいくが、実際には開館展の際、出品作品の中に奈良県立美術館が所蔵していた作品はわずか1点しかなかったと言う。それが今回の50周年展では、出品リストを見る限り、全出品180件のうち90件以上が、奈良県立美術館所蔵である。50年のうちに寄贈と購入を重ねて、これだけのコレクションを築き上げてきた県立美術館の歴史そのものと言ってもよい展覧会である。
 第1章「富本憲吉と生涯と作品」では、富本の生涯を製作地により、「大和時代」、「東京時代」、「京都時代」に分けて、陶芸家としての作品を観ることができる。地元大和時代では素朴な土焼の作品が見られ、後の豪華で洗練された作品とは違った「民間芸術」の重要性を説いていた別の側面を持つ、富本の思想性を感じることができる。また東京時代では洗練されていく造形美、京都時代では九谷焼で学んだ色絵技術により華やかになっていく作品を観ることができる。
 第2章「図案家・富本憲吉」では、富本のデザイン性に注目し、イギリス留学中に影響を受けたであろうアート・アンド・クラフト運動を中心に、当時の近代デザインと富本の作品が比較できる構成になっていた。特に富本を代表する図案、四弁花と羊歯文様は富本のオリジナリティーが大いに感じられる。
 第3章「生活へのまなざし」では、後に訣別はしたものの柳宗悦らの民藝運動とも志を共にしていた富本の生活雑器に対する関心が窺い知れる内容であった。

THANKS!をクリックしたユーザー
uchikoさん、morinousagisanさん、シンディさん

あなたも感想・評価を投稿してみませんか?
感想・評価を投稿する

より詳しい鑑賞レポート 《600文字以上》のご投稿は、
こちらから。ページ枠でご紹介となります。
鑑賞レポート《600文字以上》を投稿する

周辺で開催中の展覧会も探してみて下さい。
奈良県で開催中の展覧会

出展作品・関連画像IMAGES

色絵金銀彩四弁花文飾壺 1960年 国立工芸館蔵 撮影:米田太三郎

赤地金銀彩羊歯模様蓋付飾壺 1953年 奈良県立美術館蔵

色絵椿模様飾箱 1941年 京都国立近代美術館蔵

楽焼草花模様蓋付壺 1914年 奈良県立美術館蔵

白磁八角蓋付壺 1932年 国立工芸館蔵 撮影:エス・アンド・ティフォト

こちらの機能は、会員登録(無料)後にご利用いただけます。

会員登録はこちらから
SIGN UP
ログインはこちらから
SIGN IN

※あなたの美術館鑑賞をアートアジェンダがサポートいたします。
詳しくはこちら

CLOSE

こちらの機能は、会員登録(無料)後にご利用いただけます。

会員登録はこちらから
SIGN UP
ログインはこちらから
SIGN IN

ログインせずに「いいね(THANKS!)」する場合は こちら

CLOSE


がマイページにクリップされました

CLOSE マイページクリップ一覧を見る


がお気に入りに登録されました

CLOSE マイページお気に入り一覧を見る


を訪問済みに移動しました

CLOSE マイページ訪問済みイベントを見る

CLOSE

name

参考になりました!をクリックしたユーザー 一覧
CLOSE