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木村定三氏のコレクションと「仙人」の波乱の人生をたどる。
熊谷守一といえば5-6年前に国立近代美術館で企画展がありましたね。風貌から「仙人」と呼ばれ、独特な画風で知られていますね。こちら熊谷守一美術館は、2007年からは区立ですが、もともとは氏の次女が、氏の生前アトリエ兼住居と庭であった場所に建てた私設美術館でした。この辺りは昔、繁華街も近く、「池袋モンパルナス」などと呼ばれた芸術運動の発信地で、様々な芸術家たちが集まる貸し住居付きのアトリエが点在していたらしく、そんな中に熊谷守一もいた様ですね。たまたまこの場所は私にはちょっと行きづらく、訪れることはあまり多くありませんでしたが、なかなかに楽しい美術館です。今この辺りは住宅街ですし、あまり広くもなくちょっとわかり難いです。それでもモダンなコンクリート打ちっぱなしの正面外壁に浮彫され描かれた蟻たちが、来館者たちを出迎え、のどかでほのぼのとした気持ちにさせてくれます。水盤のメダカ?も可愛いです。館内受付ロビーは喫茶コーナーを兼ね、普通の美術館の様に整然と整った感じはなく、手作り感あふれるアットホームな雰囲気です。どちらかと言えばゴチャゴチャと、やや小さめの展示室1~3階には、油絵ばかりでなく、墨絵・書・クレパス画・鉛筆画なども、それに彫刻や陶芸作品まで、氏の画業というか芸術活動全般と、その人となりを知ることのでき、展示以外でもドアノブやプレートやら色々なところに面白い造形があり楽しめる、そんな美術館です。20・30周年は知っていましたが、今回は「開館38周年」ということです。ハンパ??と資料を見れば近年は毎年開館記念展があるような(笑)。今回展示は約100点、パトロンの一人? 愛知県の資産家・木村定三氏のコレクションが多く紹介されています。私の大好きな「雨滴」もあり、なかなかに見ごたえがあり、とても温かな気持ちにさせてもらいました。入館料がお安いので気軽に立ち寄れるせいでしょうか、平日午前にしては結構多くの観覧者でにぎわっていました。バリアフリーではないので、若干足の悪い私には、正直ちょっと辛いのですが‥。