5.0
小さいけれど魅力的な美術館
新収蔵した佐伯祐三の「レ・ジュ・ド・ノエル(1925年頃)」は、花の絵が描かれた木箱に入っていて、その木箱の絵は奥様である佐伯米子さんが描いたと思われるが、現在調査中との事。1回目の渡仏時代に描かれた、同じモチーフ(おもちゃ屋)で数点描かれおり、佐伯のお気に入りだったと思われる。すでに佐伯の特徴的な壁の質感と文字の線が表現されていて見応えがありました。現在、中之島美術館で行われている「佐伯祐三―自画像としての風景」も楽しみです。
エドガー・ドガのブロンズ像は、これまでアーティゾン美術館で「右手で右足を持つ踊り子」「右足で立ち、右手を地面にのばしたアラベスク」「衣装をつけたバレエの踊り子のための裸体習作」を見ましたが、BBプラザ美術館が新収蔵したエドガー・ドガの「靴下をはく踊り子」は小品ながらドガの指で塑像した跡が見られ、デッサンを重要視していたドガの心が伝わるようでした。また、ロダンの「りんごを齧るイブ」はいろんな角度から見てもりんごの存在が分からず、全部口に入れたあとだったのかと思いました。先日訪れた国立西洋美術館で、ロダンの「考える人」のブロンズ像が触れるコーナーがありまして、視覚情報と触覚情報を別々に体験し、より強く心に残る経験をしました。コロナ禍で難しい判断が迫られますが、ぜひそういう機会があれば、もっと楽しい美術館体験になると思いました。