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“猪熊弦一郎”日和
暖かい秋晴れの日曜日。自然豊かな場所にある横須賀美術館の猪熊弦一郎展へ行ってきました。
若き日、マティスから「お前の絵は上手すぎる」と言われ愕然とし、そこから画風を模索する旅が始まったとのことです。
展示会場は全7章に分けられ、第1〜5章は時代別に作品が展示されています。自分の画風を求めて変遷する様子を窺い知ることが出来ました。
第6章はデザイン関係の展示で、誰もが一度は目にしたことがある三越包装紙「華ひらく」の他に布物、本の表紙などの作品が展示されていました。
第7章は「画家のアトリエ」と題し、イーゼル、画材など生前使用していた物、愛用していた物達が陳列されていました。捨てられてしまうような残り物、小さな物を大切にする様は、日々の生活を大切にしているであろうと思われ、猪熊弦一郎氏が身近に感じられました。また繰り返し題材とされている妻や猫の作品からも愛情や慈しみを感じました。
またこの展覧会で、好奇心と小さな物達を愛する、今年100歳の染色家 柚木沙弥郎さんのことを思い出しました。
日々の生活の中で自分が何を大切にしたいか、どのように暮らしていくのかを考えながら作品を拝見しました。あたたかい色に包み込まれたような余韻が残る展覧会でした。