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和多利コレクションの先見性は必見
ナムジュン・パイク、マルセル・ブロータス、ヨーゼフ・ボイス、ジグマー・ポルケなどなど、現代アートの巨匠ばかり。和多利コレクションは、日本ではまだその名があまり知られてなかった80年代から世界の巨匠たちの作品を集めていた。すごい目利きだ。その後も、オラファー・エリアソン、さわひらき、有馬かおる、会田誠などなど、内外の新しい作家を収集し続けている。コレクションのもとになったのは、ギャラリーの経営者としての手腕だろう。
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花をみつめるとき、その何をあなたはみているのか。
1979年、ナムジュン・パイクはテレビのブラウン管のモニターに映る花と、「FLUX」と描かれた鉢に植えられた花、二つの花を一枚の紙にドローイング作品として描いた。ラテン語で「流れ」を意味する「フルクサス(FLUXUS)」は、1960年代、ジョージ・マチューナスを中心とした国際的な芸術運動で、ビデオ・アートの父と呼ばれるパイクのアーティストとしての原点。「いちどビデオテープに映ってしまえば、人は死ぬことを許されない」(ナムジュン・パイクの言葉)モニターに映った花は枯れることを許されないのだろうか。
コロナ禍で、ただ2年の間に、誰かと実際に会うことは、特別なことになってしまった。何かとの出会いはモニターの画面越しにもたらされる。画面越しの出会いでは、視覚に依るところが増し、触覚や嗅覚などは無力のようだ。共有されつづける画面により、視覚は個人の感覚である以上に、他者と共有する感覚となった。自分と他者を意識するともなく、もはや自分の体験と他者の体験、自分の感情と他者の感情は混在し、その区別さえ難しい。
それでも花は美しく咲き、枯れ、その花の美しさを感じているのは、花をみつめているあなた自身である。アーティストたちが描くドローイングの線は、私たちがみつめているとき、未知のヴィジョンへの補助線となる。ドローイングとの出会いは、道を歩くようなこと。自分の歩幅で、自分のスピードで、未知の場所へと向う。視覚トリップは、身体感覚をともなう。川の向うの花をジッーと目を細めてみつめる、目前の花の絵をパっと目をみひらき凝視する。そのとき、あなたの目は花のように美しい表情をもつ。
視覚トリップ展では、アーティストたちの作品を通し、視覚体験を楽しんでいただきたく、ワタリウム美術館のコレクション作品から、アンディ・ウォーホルの初めてのドローイング集「サムという名の25匹の猫と青い子猫ちゃん」、ナムジュン・パイクが描いた、笑っているテレビ、泣いているテレビのドローイングや、1984年、ヨーゼフ・ボイスが東京で描いた黒板ドローイング「コンティニュイティ(連続性)」など、14人のドローイングやペインティング作品計160点、さらにゲストアーティストとして、さわひらきの映像作品「/home」「/home (absent room) 」と新作ドローイングを展示します。
1972年、ワタリウム美術館前身のギャラリーがオープン。コレクションとして登場する人物たちは、今や現代美術を代表するアーティストです。新しいアート作品と出会いながら、アーティストと交流し展覧会をつくる姿勢は、今もかわらず、ワタリウム美術館の展覧会に受け継がれています。
会期 | 2022年1月22日(土)~2022年6月26日(日) |
---|---|
会場 |
ワタリウム美術館
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住所 | 東京都渋谷区神宮前3-7-6 |
時間 | 11:00~19:00 |
休館日 |
月曜日 ※ただし3月21日は開館 |
観覧料 | 大人 1,200円 大人ペア 2,000円 学生(25歳以下)・高校生・70歳以上の方・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳お持ちの方、および介助者(1名様まで) 1,000円 |
TEL | 03-3402-3001 |
URL | http://www.watarium.co.jp/ |
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ナムジュン・パイク、マルセル・ブロータス、ヨーゼフ・ボイス、ジグマー・ポルケなどなど、現代アートの巨匠ばかり。和多利コレクションは、日本ではまだその名があまり知られてなかった80年代から世界の巨匠たちの作品を集めていた。すごい目利きだ。その後も、オラファー・エリアソン、さわひらき、有馬かおる、会田誠などなど、内外の新しい作家を収集し続けている。コレクションのもとになったのは、ギャラリーの経営者としての手腕だろう。
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黒板ドローイング「コンティニュイティ(連続性)」を制作するヨーゼフ・ボイス 1984
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