4.0
フェミニズムだけじゃない! 多彩な久保田成子が一挙に見られる。
《ヴァギナ・ペインティング》(1965)などで前々から知ってはいた作家だが、これだけまとめて見るのは初めて。フルクサスへの参加、デュシャンピアナ(デュシャンピアンの女性形)、ビデオアートの先駆者、フェミニズムなど作家の多彩な側面を再認識した。
《ヴィデオ俳句―ぶら下がり作品》(1981)は球形のブラウン管。多分、ピピロッティ・リスト《印象を消化する》(1993)と同じものだ。終章の《セクシュアルヒーリング》(1998、写真10/10)はパートナーのナムジュンパイクへの愛情を皮肉を込めて表現していて印象的だ。
メインビジュアルに使われているソニーのポーターパックを持つ久保田成子の姿を見ると、個人的には1970年代中盤におそらくポーターパックの次世代のビデオカメラ機材を複数の企業(ソニーや松下のほか、赤井電機のビデオカメラもあった)からメセナ的に借用して銀座でグループ展をやったことがある身からすると懐かしさがある。是非とも初期ビデオアートを振り返る企画展が見たい!