3.0
評価と人気の乖離が激しいこの展覧会。平日午前中がおすすめ
評価と人気が大きく分かれているこの展覧会、Twitterを少し検索すればそのことはすぐわかる。
実見せねばと足を運んだ。金曜日ではあったが、午前中だったこともあるのか、比較的すいていた。11時に到着したが、代表作の《ホワイトペインティング》と大掛かりなインスタレーションの《海庭》は素通りし、真っ先にひとりづつ10分間だけ入れる真っ暗な部屋の作品《想像#1 man》の入口に足を運んだ。ただ一番早い回で14:30だったが、その場合は再入場可ということなので予約した。再入場した時には、若い人たちで結構混雑していた。したがって、早い時間に行くのがおすすめ。
ところで、私の評価だが、現代アート的なテイストをうまく消化した大掛かりで美しく仕上がりのセンスは評価したい。一方、それぞれの作品になんか既視感がある(※)こと、それと裏腹だが数々の作品の中に作家としての一貫した考えが見えない。また、現代アートとしてのコンセプトの深さやコンテキストへの接続が弱いことが専門家から見た不満なのであろう。ただ、日本の近代美術史振り返れば”いつか来た道”と思えなくもない。例えば、印象派、キュビスム、シュルレアリスム等々の受容についても当時の日本がどれほどその思想性を深く理解していたのかといえばはなはだ心もとない。
恐らく今回いわゆる”大人の事情”で、「平成生まれの作家としては東京都現代美術館初となる個展」となったのだと憶測するが、それであれば専門家はしっかり批評すべきではないのか。
※思いつくままに、例をあげれば、ソーシャリーエンゲージドアートっぽい《ホワイトペインティング》、目[me]や石上純也《四角いふうせん》ような《海庭》、ある種のミニマリズムの絵画のような《レインボーペインティング》、内藤礼《地上にひとつの場所を》のような《想像#1 man》、オラファーエリアソン《ビューティー》のような《ゴールドレイン》、マークマンダースのような《善悪の荒野》、ワリード・ベシュティのような《私は存在するだけで光と影がある》。