4.0
永遠のテーマ 光
超写実のモチーフに反射する光の表現の繊細なこと。主役はモチーフではなく、光や周りに漂う空気感。クッション、寝具、陶器が生み出す光、目に見えない質感を堪能出来る。シルクスクリーンによる版画シリーズもオリジナリティー溢れております。
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画家の眼とモティーフのあわいにある世界に魅せられた伊庭靖子(いばやすこ 1967-)は、触れたくなるようなモティーフの質感やそれがまとう光を描くことで、その景色を表現し続けてきました。
自ら撮影した写真をもとに制作するスタイルは変わりませんが、近年、それまで接近していたモティーフとの距離が少しずつ広がってきました。空間や風景といったものへの関心が高まり、まわりの風景が広がることで、伊庭の絵画は新たな展開を見せています。
本展覧会では、東京都美術館で撮影した写真をもとにした絵画をはじめ、版画、さらに新たな試みとして映像作品を発表する予定です。
伊庭の個展は、2009年の「伊庭靖子――まばゆさの在処――」(神奈川県立近代美術館)以来、美術館では10年ぶりの開催となります。近作・新作を中心に紹介しながら、そこに至る以前の作品も併せて展示することで、この10年の変化とともに伊庭靖子の変わらない関心の核に迫ります。
東京都美術館は 2012年のリニューアルオープンを機に、すべての人に開かれた「アートへの入口」となることをミッションに掲げ、「生きる糧としてのアート」と出会う場となり、「心のゆたかさの拠り所」となることを目指しています。リニューアルを機に開始された企画展の枠で、3年に一度、現存作家の個展を開催してきました。
本展覧会も、このひとつの取組みとして開催するものです。会場となるギャラリーは、吹き抜けの大きな空間で、建築家・前川國男がこだわったはつり壁やぶら下がりの天井照明、打ち込みタイルから生まれる独特な質感をもつ空間です。鑑賞者が感覚的に伊庭の表現の変遷を理解し、作品1点1点との対話を静かに楽しむことのできる展覧会を目指します。
◆ ここがポイント!
新作を中心とした個展
本展の開催が決まった2016年春から、伊庭は3年余の時間をかけて準備を行い、本展では、絵画、版画、映像の新作を中心に展示します。伊庭の絵画は、一貫して自ら撮影した写真をもとに制作されます。本展には東京都美術館で撮影した写真から描いた絵画も出品します。前川國男が設計した建築に漂う光が、伊庭のレンズと手を通して生まれ変わります。
映像作品に初挑戦!
大学で版画を専攻した後、しだいに絵画に軸足を移し、制作活動を続けてきた伊庭ですが、今回初めて映像作品を発表します。立体視を用いた作品となる予定で、光に満ちた静謐な空間を描く絵画とはかけ離れたように見えるかもしれません。ただ、人の眼と見る対象との間にあるさまざまなもの──光、大気、雰囲気など──への関心は通底します。伊庭の芸術観を垣間見せる作品になることでしょう。
10年ぶりとなる美術館での個展(東京の美術館では初めての個展!)
国内外の主要美術館に収蔵されている伊庭の作品ですが、多くのコレクターにも愛され個人の邸宅で大切にされてきた作品も少なくありません。今回は、多くの所蔵者にご協力いただき、新作・近作につながる2004年からの作品を展示します。なかなか見ることができないコレクターのお気に入りの作品群をぜひ美術館でご鑑賞ください。
会期 |
2019年7月20日(土)~2019年10月9日(水)
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会場 | 東京都美術館 Google Map |
展示室 | 東京都美術館 ギャラリーA・B・C |
住所 | 東京都台東区上野公園8-36 |
時間 |
9:30~17:30
(最終入場時間 17:00)
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休館日 |
月曜日 8月13日(火)、9月17日(火)、9月24日(火) ※ただし、8月12日(月・休)、 9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)は開室 |
観覧料 | 一般 800円/団体(20名以上) 600円 65歳以上 500円 大学生・専門学校生 400円 高校生以下 無料
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TEL | 03-3823-6921 |
URL | https://www.tobikan.jp/yasukoiba/ |
4.0
超写実のモチーフに反射する光の表現の繊細なこと。主役はモチーフではなく、光や周りに漂う空気感。クッション、寝具、陶器が生み出す光、目に見えない質感を堪能出来る。シルクスクリーンによる版画シリーズもオリジナリティー溢れております。
4.0
伊庭靖子展というアーチストの名を今回初めて知りました。「まなざしのあわい」というタイトルも意味不明でしたが、解説を読んでみると、「あわい」とは「間」のことで、画家のまなざしとモティーフの間の世界のことらしいです。
最初の作品数点にはクローズアップされた抽象的模様が描かれており、これらが何か全くわかりませんでしたが、次の数点でこれらがクッションの生地にプリントされた模様であることがわかりました。手品の種明かしをされたようで、おもわず微笑みを浮かべました。
クッションのクローズアップ絵画に続き、器の絵、アクリルボックスを被せた器の絵、版画、映像等多様な作品が展示されていました。私のつたない語彙ではその素晴らしさが十分伝えられないので、「不思議なものを観ました。」という感想で逃げておきます。
なお、最後の映像作品では二つのスクリーンに立体視の映像が流れていました。ひとつは立体視できたのですが、他の一映像(無数の粒子が動く映像)はスクリーンの前で踊っている子供に遮られ、うまく立体視できませんでした。きっと楽しい映像が映っていたのでしょう。残念です。
4.0
近くによってみると、ぼんやりとした平面的なタッチがあるだけなのに、数歩下がってみると急に立体感が出てくる不思議な絵。透明感と涼しげな印象の花瓶たちや、触れそうなぐらい感触まで感じられるクッションの絵。素晴らしいです。
5.0
2004年から現在にかけての作品が並ぶ静謐な空間。はじまりは、クッションや陶器など、日常身の回りにある品々の質感と向き合い、写実的ながらもどこか抽象的にも感じる作品群。品々と対峙することで、品々を取り巻く光や空気感を美しいあわいとして描いている。後半にかけての風景を描いた版画作品や新作のステレオグラム作品より、見応えがあったように思う。ステレオグラム作品の立体視に努めたが難しくて出来なかった。
4.0
ギャラリーA、B、Cでの展示です。作者の作風がかわっていくことがよくわかります。作品同士も余裕を持っての展示ですので、ゆったりと見られます。混雑もなく、じっくりと作品と向き合うことが出来ます。東京都美術館で撮影を行ったコーナーがあり、ここは撮影可能です。コートールドが始まるとそちらは大混雑しそうですが、静かな空間で作品を眺めるのもいいのではないでしょうか。
5.0
序盤のクッション、ベット等をモチーフにした生活の中を切り取った作品が印象的です。ライトなタッチで油彩だというのが驚き。油彩は独学と聞いて繊細な一瞬を切り取りたいという画家の執念を少し垣間見せる作品です。すごい。
伊庭靖子さんのトークショーも含め観覧させて頂きましたが、優しそうなところがあり、何処となく悪戯っこのような感じの素敵な女性で作品に表れています。
5.0
絵自体が油彩なのに磁器のような透明感があり、反射や光の表現がとても複雑で、前後を錯覚するような感覚に陥ってしまいました。
尚且つ、主役はちゃんと主役よと主張してるなんとも不思議な絵ばかりで、とても見応えがありました。
5.0
写真を撮るのが好きなので、一目見て作品に惹かれました。ファインダー越しに見る美しい世界を写真意外の手段で表現できるって素敵だと感銘しました。
アクリル素材を通じての光や映り込みも素敵だなと思いました。
作品は、正面から、斜めから見るなど、色々な角度から見ると、とても感動します^_^
振り返ってみるのもおすすめします^_^
4.0
本当に油彩??と思うくらい、びっくりです。
涼しげなモチーフの作品もたくさんあるので、夏のシーズンにピッタリかと思います。
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