4.0
横山大観と比べて見る!
おととし「兵庫県立美術館」でも「藤田嗣治展」が開催されましたが、展示作品に重複が少ないので、「おととし見たし、今回はもういい・・・」と思っている人でも、十分に見甲斐はあると思います。
展示はほぼ年代順ですが、この画家で1つ特徴があるのは、「戦争記録画」ではないでしょうか。
今回も『アッツ島玉砕』が展示されています。
祖国である日本を思って積極的に戦争記録画に取り組んだ姿は、小磯良平あたりとは少し異なっています。
一方、同じように戦意高揚のために横山大観も作品を制作しています。
ただ、藤田は戦争の記録のために、大観は戦意高揚のために、という目的は異なります。
そのためか、大観は戦争終結後も特に非難を浴びることはありませんでしたが、藤田は「日本を追われるように」フランスに渡り、洗礼を受けて日本人ではなくなる道を選びます。
通常の作品の見方とは少し違って、この美術館で春に行われた「横山大観展」、ちょうど今「神戸市立小磯記念美術館」で行われている「小磯良平(回顧)展」、そしてこの「藤田嗣治展」を第2次世界大戦を挟んだ前後の視点で見るのも、面白いのではないかと思いました。