4.0
緻密に描かれた背景
ラファエル前派は、19世紀の中頃、ヴィクトリア朝のイギリスで活動した美術家・批評家から成るグループである。印象派とならぶ一大運動であった象徴主義美術の先駆であったが、美術の変革を過去に求めたため、印象派ほど有名にならなかった。おすすめはダニエル・マクリースの「祈りの後のマデライン」。ジョン・キーツの詩「聖アグネス祭前夜」の一場面を切り取った作品。人物のみならず緻密に描かれた背景が見る者の目を奪う。
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ヴィクトリア女王が大英帝国に君臨した19世紀、全盛期に始まった産業革命は様々な問題を残しながらも確実にこの国を豊かにし、帝国は繁栄の絶頂に達しました。
その結果多くの中産階級が生まれ、彼らの成金的な好み、趣味や考え方、そして憧れが美術界の方向を左右するまでに至りましたが、彼らが自宅を飾るものを求めたことで市場がかつてない潤いを享受したことも事実でした。美術界は新たな風を求めていたのです。
ラファエル前派と称する若い画家のグループが現れたのはこのような状況下でした。そしてそれは新たな夢の探求でもあったのです。
ロセッティ、ミレイ、ホルマン・ハントらがラファエル前派を結成し活躍した19世紀中頃のリバプールは、造船業や様々な工業によって、また工業製品を輸出する英国随一の港町として大変栄えていました。
リバプール市内及び近郊の3美術館などを総称するリバプール国立美術館は、ラファエル前派の傑作を有する美術館として世界的に知られています。
本展では、リバプール国立美術館の所蔵品から、ラファエル前派及びその継承者たちの油彩・水彩など65点を紹介し、近代における英国美術の英国らしさを「英国の夢」をキーワードに浮き彫りにしていきます。
古代の神話、聖書、中世の騎士物語をテーマに描かれた、ロマンティックで物語性のある世界観は、現代に生きる私たちをも魅了します。その美しく、ドラマティックな作品の数々を会場でお楽しみください。
会期 |
2015年12月22日(火)~2016年3月6日(日)
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会場 | Bunkamura ザ・ミュージアム Google Map |
住所 | 東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F |
時間 |
10:00~19:00
(最終入場時間 18:30)
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休館日 | 展覧会により異なります。 |
観覧料 | 一般 1,500円(1,300円) 大学・高校生 1,000円(800円) 中学・小学生 700円(500円) ※( )内は団体は20名様以上
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TEL | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
URL | http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/15_raffaello/ |
4.0
ラファエル前派は、19世紀の中頃、ヴィクトリア朝のイギリスで活動した美術家・批評家から成るグループである。印象派とならぶ一大運動であった象徴主義美術の先駆であったが、美術の変革を過去に求めたため、印象派ほど有名にならなかった。おすすめはダニエル・マクリースの「祈りの後のマデライン」。ジョン・キーツの詩「聖アグネス祭前夜」の一場面を切り取った作品。人物のみならず緻密に描かれた背景が見る者の目を奪う。
4.0
新しくも懐かしい感じを受けるラファエル前派。
この時代にこれらの作品が生まれたことが、同時期の他派と比べると非常に興味深い。
4.0
2014年に開催された2つの美術展「テート美術館の至宝 ラファエル前派展」「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義展」で、すっかりラファエル前派にハマった私ですが、今回の展覧会では、同派の中心メンバーにとどまらず、同時代の画家たちや彼らの作品を新たに「発見」する歓びが待っていました。たとえば、ローレンス・アルマ=タデマの「テピダリウム」、ペルジーニの「シャクヤクの花」、アーサー・ハッカーの「ペラジアとフィラモン」、ブリックデールの「小さな召使い」、フレデリック・ケイリー・ロビンソンの「バルコニー」などといった作品がそれにあたります。いずれも、作品に描き込まれた女性たちの美しさや官能性などに目を見張りました。65点という出品数も疲れずちょうど良い具合で大満足。ヴィクトリア朝絵画の魅力の奥深さを改めて知らされた美術展でした。
4.0
印象派とほぼ同時期に英国ではこういう派があったんですね
ひとつひとつがすみずみまで緻密で繊細に描かれていて感動しました
なかには写真かと見まがうほどの水彩もありおもわず顔を近づけて見入ってしまいました
門外不出といわれた「レバノンの花嫁」は大作で水彩というのが驚きでした
美しいものを堪能できた展覧会でした
5.0
中世の騎士や神話がモチーフの作品があり、優しい表情の女の子の素晴らしい作品がありと、小さい子供を連れての観賞でも楽しめました。モネは激コミで大変でしたがこちらはゆったり見られてとてもよかったです。
4.0
「ラファエル前派」とは、貴族趣味っぽいものかと勝手なイメージで、これまで展覧会に足を運ぶことはほとんどありませんでした。今回、Bunkamuraのシアターコクーンに出かけた帰りに、立ち寄ってみたところ、この絵画世界の素晴らしさに驚いています。
この展覧会紹介ぺージの1枚目に登場する画像が、会場の最初に展示されているのですが、やはり画像で見るのと実物では、表現力に圧倒的な差がありますね。あたり前ですが。
この絵からは、孫2人をともに馬にのせたお祖父さんの表情、まなざしが、深い愛情に満ちていて、自らを投影したらしき画家の心情がたっぷりと伝わってくるようです。
Bunkamura ザ・ミュージアムは、広すぎず、小さすぎない美術館で、平日でしたので、1枚1枚ゆったりと存分に堪能することができました。
ジョン・エヴァレット・ミレイをはじめここにも画像で紹介されている絵画はいずれも素晴らしい表現性で、ひとつひとつ描かれた絵の世界にひたってしまいます。しばらく立ち尽くして、離れることができません。
キャンバスに込められた魂が時代を超えて、国を超えて、目の前にいる人の心を揺さぶるかのようです。迷いないの色彩で、ドラマチックに描かれた「ラファエル前派」の絵画世界、今後は必ず観に行くようにしたいと思います。
3.0
今回はリバプール国立美術館所蔵作品による企画展ということで、作品点数65点。
作品の性質(唯美主義的作品が多かった)もあり、案外サラっと見終えることのできる企画展だったと思います。
展示は以下の通り大きく4つに分類されていました。
1.ヴィクトリア朝のロマン主義者たち 2.古代世界を描いた画家たち 3.戸外の情景 4.19世紀後半の象徴主義者たち
これで分かる通り、3だけは風景画というジャンルでのくくりですが、それ以外は基本的に画家くくりとなっています。
個人的に印象に残った作品を挙げます。
●カテゴリ1
・ミレイ「ブラック・ブランズウィッカーズの兵士」
黒い制服を着た将校と、その胸に頬をあてる美しい女性。扉の前で、将校の手は扉にかかり、女性は後ろ手でそのノブをおさえている。戦場に出発する前の逢瀬、別れ際のシーンだそうです。恋人が部屋を出ようとするのに抵抗する切ない女性の心が一目でわかる情感のこもった作品でした。
将校のブーツの皮靴のテカリやドレスの光沢・質感がとても写真のようにリアルでした。
・ミレイ「春(林檎の花咲く頃)」
林檎の花が美しく咲き乱れる前に8人の女性。穏やかな春の日を外で楽しんでいるシーンのようですが、誰一人笑っていない。そして視線もバラバラ。凄く違和感を感じます。右下端に横たわる少女は意図的にこちらを見つめているようです。そして、背後にはなぜか鋭い大鎌が地に突き刺さっています。あの死神が手にしているような鎌です。不吉な未来を暗示する象徴主義的作品ですね。
・マクリース「祈りの後のマデライン」
「聖アグネス祭前夜」という詩の中のシーンを描いた作品。ロミオとジュリエットのような許されない恋の話とのこと。この作品のシーンの詳細はあえて書きませんが、そのストーリーを知って見るとまた違ったロマンチックな良さがあります。作品としては、夜の祈りの後に就寝するための身づくろいをしているシーンなのですが、暗い室内でありながらも背景の家具調度が細部までしっかり描きこまれており、夜の光で輝くステンドグラスと清楚な女性マデラインの姿が美しく、印象的でした。
・その他、このカテゴリにはラファエル前派の代表格ロセッティの「シビラ・パルミフェラ」なども展示されていました。
●カテゴリ2
・レイトン「ペルセウスとアンドロメダ」
神話をモチーフにした大… Read More
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