3.0
事前に知識が必要だった…
中野京子氏の超人気美術書『怖い絵』シリーズを展覧会化したとあって、たいへんな混雑具合だった。ゆったり作品と向かいあって鑑賞できなかったのが残念でしかたない。
美術系雑誌などで企画者が述懐するところによると、海外の美術館からの貸出が大変だったということなので、その苦労に報いるように、なおのことじっくり鑑賞したい気もしたのだけど、それがなかなか難しかった。
くわえて、背景を知ると怖くなるというような書籍のテーマを引き継いでいるので、絵画の内容や背景を知らなければ、ほんとうによくわからない。展示解説は人混みで読めないし、絵を見たらいいのか、説明を見たらいいのか、いやその前に人の頭しか見えない…という状況だった。
本で見た絵画をとりあえず実際に自分の目で見る機会としてはちょうどいいかもしれないけれど、事前知識がない状態だとあまり良い鑑賞体験にはならないような気がした。自分は『怖い絵』シリーズ未読だったので、とりあえず会場の絵の迫力と空気感を思い出して、あらためて書籍のほうを読んでみようと思う。