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足だけ造形の意味を知る。
青木千絵さんの作品はこれまで、兵庫県立美術館(BODY 17-1)や徳島県立近代美術館(BODY 08-1:国内美術館初収蔵、今回の個展で初めて徳島を出たとの事)で見たことがあり、とても印象的で一度見たら忘れならない作品です。人を表現していると思われますが、顔や腕はなく、胴体がねば~る君のようにながく、最後にとてもリアルな足が空を浮いている。全体が黒く輝いている、それも綺麗と感じる要素でした。
今回、青木千絵さんのお話を直接聞くアーティストトークがあることを知り、これは絶対に行きたいと計画、雨の中でしたが、行って良かったです。
本作品が生まれる背景を知るということは、青木千絵さんがこれまで歩んできた人生を知るということであり、青木千絵さんの心の中から生まれてきた作品であることを知りました。その認識で改めて作品を見ますと、漆の黒が心の暗闇を表わし、作品制作の中で、8割が研ぐという行為で、その工程が青木千絵さん自身にとって自分を見つめる、心の対話であり、研ぎで輝く漆は希望であると、とても印象的な言葉でした。また、「殻に包まれたい」幼少期から現在まで、心の通底に流れるテーマであるとおっしゃっていました。心の表現として、顔や手のように多くを語ることのない、足が自分にはマッチしているとの解説に、悩みの中にいるときも歩みを止めない静かなる情熱を感じ、感動しました。今回の対談の内容も含め、現在作成中の図録も11月に届くのが楽しみです。
中谷ミチコさんに続き、青木千絵さんも最高でした。最近、若手女性彫刻家、造形作家が熱く、今後も大注目です。
