この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
「鎧と人間」をテーマに文明社会や人間への好奇心を追求する現代美術作家、野口哲哉。作品は一見古びて見えますが、すべて樹脂やアクリルといった現代的な素材で作られており、「リアリティー」「多様性」など作家のコンセプトが凝縮されています。まるで本物と見間違うような肌質の彫刻は、近代日本美術にある芝居的な表情とは違い、アイロニーな印象で、見る人の想像力を刺激します。モチーフは鎧兜ですが、過去や現代、未来を生きる人間の姿を肯定的に捉えています。
野口は、アイコンである鎧兜を「生物の殻」として考え、「殻をまとった人間は決して別次元や芝居事の住人ではなく、時代や環境に対応しただけの姿」と語っています。
本展では、1969年の開館当初の姿をとどめる本館ギャラリーを会場に、新作を含めた立体や平面など約75点を展示します。自然とアートが調和する野外美術館に、野口の幅広い思考と精緻な作品が融合し、誰もが共感できる知的な空間を産み出します。
―鎧を着て見る夢―
「鎧と人間」という要素を手掛かりに絵画や彫刻を作り、作る以上に色々な事を考えて、頭と手を動かす作業を僕はずっと続けてきました。子供の頃から鎧兜に強い興味をもってきましたが、それと同時に、現代の、過去の、そして未来の人間に強い関心を持っています。僕は鎧兜と同じくらいに人間や世界の事が大好きなのです。だから、鎧の事を「武将を飾った装束」としてではなく、「人間が肉体を守るために作った過去のプロダクト品」だと考えています。
人間はとても柔軟な生き物なので、地球上のあらゆる場所や風土、国や法律に適合することができます。その中で考えもしなかったようなユニークな発明をしたり、時には驚くほど不思議な姿になったりします。それはとてもミステリアスで恐ろしく、僕の好奇心を刺激し続けてきました。プロダクトを着る事で姿が変わってしまった人間の、それでも変わらない本質が硬い殻の中には胎動しています。
人間が誰でも持っている虚しさや孤独、喜びや怒りといったシリアスな姿が、色と形と結びつきながら僕の行き先を照らしています。展覧会では、僕が過去に作った様々な作品を展示しています。作品をご覧になってくれた皆さんが何かを感じ、叶う事なら、ユーモアよりも大切な事が伝われば、僕はとても幸せです。最後に、展示に関わってくださった皆さんに心からお礼を申しあげます。本当にありがとうございます。
野口哲哉
開催概要EVENT DETAILS
会期 | 2025年7月19日(土)~2026年1月12日(月・祝) |
---|---|
会場 |
彫刻の森美術館
![]() |
住所 | 神奈川県足柄下郡箱根町ニノ平1121 |
時間 |
9:00~17:00
(最終入場時間 16:30)
|
休館日 | 年中無休 |
観覧料 | 大人 2,000円 大学・高校生 1,600円 中学・小学生 800円 未就学児 無料
|
TEL | 0460-82-1161 |
URL | http://www.hakone-oam.or.jp/ |
割引券 | http://www.hakone-oam.or.jp/corefiles/ticket.html |
彫刻の森美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
講演会・イベント情報EVENT INFORMATION
◆ アーティストトーク
2025年7月19日(土)
(1)11:00〜11:45 野口哲哉
(2)14:00〜14:45 野口哲哉
詳細は、展覧会ウェブサイトやSNSでご確認ください。
感想・評価 | 鑑賞レポートREVIEWS
あなたも感想・評価を投稿してみませんか?
感想・評価を投稿する
より詳しい鑑賞レポート 《600文字以上》のご投稿はこちらから。
ページ枠でご紹介となります。
鑑賞レポート《600文字以上》を投稿する
周辺で開催中の展覧会も探してみて下さい。
神奈川県で開催中の展覧会
出展作品・関連画像IMAGES

《floating man》2025年 ミクストメディア Photo:⻑橋睦

《Clumsy heart》2018年 ミクストメディア Photo:GYOKUEI

《Talking Head》2010年 ミクストメディア Photo:富森浩幸

《Watcher》2025年 ミクストメディア Photo:長橋睦

《RING AND MAN》2024年 ミクストメディア Photo:長橋睦

《small sleep》2019年 ミクストメディア Photo:富森浩幸

《GUNMAN》2025年 ミクストメディア Photo:長橋睦

《甲冑武⼈⾃転⾞乗⾞出陣影》2008年 紙にアクリル彩⾊ Photo:⽵下聡

《ダンスマン》2022年 紙にアクリル彩⾊ Photo:⽵下聡