4.0
館内も館外も緑にあふれた展覧会
「緑の惑星」という魅力的なタイトルに惹かれ世田谷美術館を訪れました。もう一つの目的は砧公園の桜と緑を楽しむことでした。
展示は「Ⅰ森林」、「Ⅱ風景」、「Ⅲ庭園」、「Ⅳ花園」、「Ⅴ楽園」、「Ⅵエピローグ:みんなでつくるセタビの森」の6区画に分かれています。Ⅰ~Ⅴ区画は館蔵作品のうち、各テーマに合う作品を選んで展示し、最期のⅥ区画は世田谷区内の小学生による植物の絵が天井から吊されていました。
「Ⅰ森林」では「緑の惑星」と称しているのに、色彩の無い樹木のデッサンが並んでおり、やや不満でした。Ⅱ以降は色彩に溢れる作品が増え、最期には文字通り、緑の惑星の様相を呈してきました。
展示物は知らない作家の作品が多く、有名作家の作品も代表作ではないため、あまり印象に遺りませんでした。ただし、「Ⅱ風景」にアンリ・ルソーの「散歩」が展示されているのに驚きました。ルソーの現存作品は多くないはずですが、世田谷美術館が保有していることを初めて知りました。
感銘を受けた作品は吉田喜彦氏の屏風図「武蔵野月の出」です。彼の作品は「Ⅳ花園」にもたくさん展示されていますが、全く知らない画家でした。早見御舟に師事した日本画家とのことで、この画家の存在を知ったのは一つの収穫でした。
花見の季節にふさわしい楽しい展覧会でした。