中村屋サロン アーティストリレー 第6回 山髙 徹 展「既視感のモノローグ」
中村屋サロン美術館|東京都
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新宿を描く人
中村屋サロン美術館は一昨年に初めて来て以来2回目の訪問で、前回も今回も月曜日にやってるとこが他にほとんどないからという、極めて不謹慎な理由からです。誠に申し訳なく思い、反省しつつのレビューです。
今回やってた企画展は山髙徹さんという初見のアーティストさんの個展で、中村屋サロンさん恒例の現代アーティストリレーの第6回目となります。
どんな作品を制作されてるのか全然知らず来たわけですが、見た感想はかなり好感持てたというか小品ながらもジワっと来る心地よさを全作品から感じました。
その作品は「立体的風景画」とでもいいましょうか、都会のビル街を高所から俯瞰し、その光景を箱状や板状の発砲スチロール体に描くというものです。
ただ、発泡スチロール自体にはレリーフ状の彫りが入るわけじゃなく面が曲がってたり、うねりがあったりする程度です。
発泡スチロールは木材やプラスチックに変わる場合もあります。
「箱の表面に風景画を描いたもの」とも言えるのですが、なぜかそれに惹かれるものがある。
その理由を考えたとき、はたと気づいたのは、それが新宿の都市風景だったからです。
新宿駅ビルを東口から見た《雑踏のBGM》でデカデカと外壁に掛かるMY CITYの文字、駅ビル屋上越しに遠目に聳える都庁のツインタワーやモード学園ビル。
私は地方人で都民だったことはないのですが、過去に東京で最も多く利用した駅は新宿なので、なんとも言えぬ親近感を感じたわけです。
とはいえ、新宿ビル街をこのような高所から眺めたことはありません。だからそれもまた斬新というか、地上を歩くとゴチャゴチャした新宿という街の別の一面を見たようで一種独特のカタルシスを感じました。
新宿以外の場所もあります。それがどこかは私にはわからないのですが、東京にお住いのかたなら遠景でわかるかもしれません。
山髙さんはおそらくビルの屋上でスケッチされたのでしょうが、中にはすぐ隣の工場や屋上の鉄骨、空調機の冷却塔なんかも描いている。
どこにでもある現代の風景なのですが、アーティストさんがこぞって取り上げるほどのものじゃない。
でもそれが絵になると妙に惹かれる。当展のタイトルどおり、デジャヴを伴って。
屋上に立つと、普通は見えない景色が見える。それを描きたいという思いにはものすごくシンパシー覚えます。
山髙さんが次に屋上に上がるのは東京のどの街だろう。新宿は是非ライフワークとして定点観測してもらえたら嬉しいな。
またどこかで出会えることを祈りつつ、中村屋のカレー食べに行くとしますか。
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