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あべのハルカス美術館開館10周年記念 円空-旅して、彫って、祈って-

あべのハルカス美術館開館10周年記念 円空-旅して、彫って、祈って-

あべのハルカス美術館|大阪府

開催期間:

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『円空展―木彫りの像が紡ぐ信仰と芸術』

神仏の造形と宗教文化の融合を通じて、芸術と信仰の交差点における円空独自の表現形式が浮き彫りになるのが本展です。

江戸時代初期に活躍した僧侶である円空は、生涯で約12万体の神と仏の像を彫り、その作品を通じて庶民との間で信仰を広めました。彼の造形は、技巧だけでなく、木そのものから霊性を感じ取り、信仰の対象を自然な姿で表現することに重点を置いていました。

円空の制作における信念は、仏像が仏そのものであるという神のお告げによって強化され、木の自然な特徴と放つエネルギーを尊重していたといわれています。円空仏は技巧的な装飾を排し、木肌を生かした自然な表現が特徴ですが、これは円空が、仏像そのものよりも背後にある信仰の対象、すなわち御神体を重んじた結果と考えられます。また、力強く個性的な表情は、仏像をただの像ではなく、生きている存在として見ていたことが伺えます。

江戸時代に全国的な寺院整備と本山末寺体制が確立され、一般的な仏像のスタイルが均一化された中、円空の仏像はそれとは一線を画します。彼の作品は、装飾を施さない素朴で荒削りながら霊性を感じさせる造形で、遊行した地域の人々の信仰心を反映しているかのようです。

円空仏の彫刻において、刻む際の音にも深い意味があり、その音が功徳をもたらすとされています。特に、「鉈彫り」による鑿痕を強調する表現は、仏像が造形される瞬間に、削られる木そのものから仏身が現れる様子を想像させます。これは、円空が仏像そのものよりも信仰の対象となる御神体を尊重し、力強い生命力と躍動感を重視した結果です。

円空仏は、民衆に寄り添い、日常生活に深く根ざした信仰の対象として親しまれてきました。これは、円空自身が厳しい修行を経て地元の民衆と深く関わり、彼らの苦悩や喜びに共感していた結果です。

この展覧会は、円空仏の作品が持つ歴史的、芸術的、宗教的価値を通じて、その普遍的な価値を再認識する機会を提供します。地球規模で進行する文化の均質化に対して、地域固有の信仰や芸術の形式を伝えることで、世界の多様性を守るという貢献も期待されます。
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僧侶円空は、1632年美濃国に生まれた。若くして出家、諸国行脚の末、1663年より本格的に仏像制作を開始する。初期の作例は丁寧な仕上げですが、後年は簡素な表現へと移行します。展覧会では、彼の初期から晩年に至るまでの彫刻作品を中心に、書画、経文や詩も幅広く紹介されます。

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