デ・キリコ展
東京都美術館|東京都
開催期間: ~
- VIEW181
- THANKS0
デ・キリコの芸術世界を存分に味わえる大回顧展
ジョルジョ・デ・キリコの作品が一堂に会する大回顧展が開かれていることを会期も間もなく終わりという頃に知り、慌てて見に行ってきました。
学生時代に《通りの神秘と憂愁》を教科書で見てから、気になって他の作品を調べるうちに憧れるようになったデ・キリコ。イタリア本国でもこの規模の大回顧展はなかなかないと聞き、この機を逃すわけには!!と喜び勇んで向かったのですが、想像以上に大変素晴らしい展示内容でした。
圧巻の作品数で、時代やテーマごとに丁寧に分けられ、形而上絵画の時代から、バロックやルネッサンスなどの古典的表現に回帰した時代、再び形而上的な絵画に戻った晩年と、デ・キリコの長い画業の中で変わっていく作風の変遷をたどることができたのが、非常に有意義に感じました。
そしてなんといってもダリやマグリットなど多くのシュルレアリストたちに影響を与えた1910年代の形而上絵画作品をまとめてみられるというのが素晴らしかったです。
これらの、シュルレアリスムの源泉となる作品がやはり来館の最大の目的であったので、時間をかけて味わいながら鑑賞しました。
それから東京都美術館の建物の雰囲気が、なんだかデ・キリコの作品の雰囲気に合っているように感じ没入感を持って味わうことができた気がしてその点も良かったです。
唯一残念なことは、《通りの神秘と憂愁》が展示されていなかったことですが、それをカバーする素晴らしい作品たちに満足しました。
彫刻、舞台美術など多岐にわたる芸術作品も興味深かったです。
独自の表現方法と幻想的な世界観によって物事の本質を描こうとするデ・キリコの唯一無二の芸術世界に圧倒され、歓喜し…素晴らしい時間を過ごすことができました。