出来事との距離 -描かれたニュース・戦争・日常
町田市立国際版画美術館|東京都
開催期間: ~
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忘れてはいけないこと
戦争の悲惨さはいつの時代も変わらない。戦争が始まる前の薄気味悪い高揚感や、戦争中の飛び交う玉石混交の情報の数々、終戦後の喪失感はいつの時代も変わらない。今の日本は平穏無事な日々を送れているが、ここ数年、またすぐ近くで血の匂いがしてきているように感じる。いつ終わるかわからないウクライナ戦争。ずっと終わらないガザ地区の問題。いつか悲劇が始まってしまうのかもしれない台湾問題。当事者だけでなく、隣国や第三国の思惑も渦巻いて、絡まった糸を解こうとすればするほど、どんどん糸が絡まっていき、結び目がわからなくなってきている。いっそその糸を切ってしまうほうが解決するのかもしれないが、誰も糸を切ろうとはしないのだ。この展示の数々は、訪れる前は、きっと風刺画が多いのだろうと思っていたが、そんなことはなかった。日常を描いている絵の中に血の匂いを感じたことに驚いたし、ショックを受けた。とても恐ろしいことである。すぐそばに戦争がある、戦争がいるのだ。核のボタンを押す人はひとりじゃない。その前に誰かが背中を押している。その感覚に慣れたくないし、慣れてしまいたくもない。今、世界が変わろうとしている。きっと戦禍が落ち着くことはないし、新たな戦禍が引き起こされてしまうのかもしれない。戦争を繰り返してはならない。戦争は憎しみと悲しみしか生まないのだ。いつになったら、世界中が平和になるだろうか、とわたしは平和を願ってやまない。