
塩沢かれん展:音の海を超えて
軽井沢ニューアートミュージアム|長野県
開催期間: ~
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ここではない何処かへ----プチトリップ軽井沢-----
【そうだ。軽井沢いこう】とふらりと高速を爆走(安全)運転し、秋の長野へ。
軽井沢ニューアートミュージアムを訪れました。
こちらの美術館気にはなっていたのですが、ハイシーズンの軽井沢のメインストリートって駐車場争奪戦で近寄れなかったんですよね。
前回は客(車?)引きに慄いて逃げてしまいました。今回は駐車スペースに隙間を発見して滑り込みです。
入口を入ると2階までの吹き抜けスペースで高い天井が郊外の立地に相応しい解放感をもたらします。壁面は飾り棚になっていて、地元の作家さんや軽井沢に所縁の本が並べられて、美術館というよりはお洒落なギャラリーの佇まい。
会場は入口から左側のGallery3スペースになります。
白い20m四方くらいの会場に、大小さまざまなサイズの絵画、そして薄い白の布プール(?)に埋もれた額縁絵という表現スペースが設けられています。
塩沢かれん氏は、東京造形大学大学院を修了し、ファンタジーな独自の世界観で近年注目を集める新進気鋭のアーティスト。
今展のテーマは「人間の記憶や心の奥にある景色の探求」。
入口の『音の海を超えて』作には、視覚を超越した世界を探究することで、人々の想像の扉を開きたいという作家の願いが込められているそうです。
彼女の描く世界はまさにフェアリーテイルの中の出来事のようで、山をくりぬいたような広い空間に円柱が続き、小さな少女と妖精のような生き物がポツンと佇んでいます。
人物が小さいので、背景の洞窟なのか回廊なのか。。。大きさ対比がすごく際立ってます。
例えるなら、映画ロード・オブ・ザ・リングの地下宮殿より小さめで、現実世界なら宇都宮の大谷石採掘場跡より大きいサイズ感でしょうか(微妙な表現だな・・・)。
そんな洞窟のような空間を、放射線のような光の帯が斜めに照らします。差し込む光は夕日なのか朝日なのか、う~ん、見る方の気分次第でしょうか。
時間も背景もどこか曖昧で、建物や街風景のような情報は最小限。余計な情報が無い分、見る側の創造を掻き立てます。
こうした見知らぬ街に迷い込む異邦人のような、小さな登場人物たちは幼少期をオランダで過ごした作者の心を反映しているのかなとも感じました。
色彩は明瞭ですが、原色というわけでもなく、柔らかい印象を見る人に与えるのこの感じ、、、スタジオジブリのアニメ『耳をすませば』に出てくる、猫男爵が生きる異世界イバラードを描いた井上直久氏の世界がふんわりと連想されました。
絵の登場人物にでてくる人よりはるかに大きいウサギのバーテンダーや、星の妖精(?)に見える不思議な異世界の住人たち。
どこか夢見心地な気分に浸りながら会場を後にしました。
都心では見ない高い空と鳥の囀り、落葉樹の木立が点在する軽井沢という非日常空間をふらりと訪れた自分にぴったりな展覧会。
旅の素敵な一コマにお奨めです。
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