甲斐荘楠音の全貌 絵画、演劇、映画を越境する個性
京都国立近代美術館|京都府
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甲斐荘とルネッサンス
甲斐荘楠音の名を知ったのは、2022年の「あやしい絵展」でした。
もちろん彼の代表作の一つである「横櫛」の絵は小説の表紙で知っていましたが。
その展示会ですっかり彼の絵に魅了された私ですが、彼が映画の風俗考証や衣装デザインなどを務め、アカデミー賞にノミネートされていたということは今回の「甲斐荘楠音の全貌」展で初めて知りました。
今回の目当ては「あやしい絵展」に出品された作品たちとの再会。
また、この時は東京会場でしか展示されなかった未完の『畜生塚』
や、会期の都合で見ることができなかった『幻覚(踊る女)』なども見れるということでとても楽しみにしていました。
彼の作品の魅力の一つに目があると思うのですが、どこから見ても視線の合う『横櫛』。しかし、広島県立美術館蔵のほうは明らかにこちらを見つめてきますが、京都国立近代美術館蔵のほうはこちらを見ているようで見ていない。
どこか虚ろな目をしています。そして『幻覚(踊る女)』では真っ赤に彩られた目のせいでどこを見ているかもわからず、ゆえに「妖しさ」が際立っているのだと思いました。
また、広島Ver.の横櫛を見ていて、「どの角度からもこちらを見ている目、アルカイックスマイルのような少し微笑んだ口元・・」モナリザに近いものを感じました。
他の解説を読めば、楠音はダ・ヴィンチやミケランジェロから影響を受けたことなどが書かれていたので、強ち私の判断は間違っていないのかもしれません。
『畜生塚』の裸婦群像はまるでミケランジェロのようだし、中央で屍を抱く女性たちはまるでピエタのようでもあります。
そういえば、今回の作品の一つ『白百合と女』は日本人女性ではあるが、モデルは妊婦のようであり、そこに白百合を合わせたことを考えると、処女受胎を意味していたのかもしれない。という説もあるようです。
ルネッサンスと甲斐荘。深く結びついていたのかもしれません。
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