開館1周年記念特別展 佐伯祐三 —自画像としての風景
大阪中之島美術館|大阪府
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あらゆる意味でスペシャルな企画展。
大阪の実業家・山本發次郎氏の絵画コレクションは中之島美術館計画の発端であり、そのコレクションの中心となるのが佐伯祐三氏の作品群。
つまり佐伯祐三氏は中之島美術館の顔であり、晩年の作品である「新聞配達夫」はモリディアーニの「髪をほどいた横たわる裸婦」と並ぶ当館のアイコン的存在。
昨年2月のオープン時よりこの「佐伯祐三展」は告知されており、かなり時間をかけて準備されたスペシャルな企画展であることがうかがえます。
大阪では15年ぶりとなる本格的回顧展で、展示作品数は前期後期合わせておよそ140
そのうち、およそ60点が中之島美術館所蔵(寄託含む)だとか。
大阪に先んじて東京で開催された時より20点増えているのスペシャル。
佐伯氏の画業はおよそ6年。本格的な活動は4年ほどしかなく、今回は東京美術大学(現:東京藝術大学)在学中の1919年から、没年の1928年まですべての年代を網羅。
その間に移り変わる画風を堪能するとともに、氏の画家としての生涯を追体験できるのもスペシャル。
佐伯祐三といえば、油でテカテカに光るほどの厚塗りの印象がありましたが、板の木目が透けて見えるほど薄く塗られた作品もあり、これはセザンヌ風。こっちはユトリロっぽい。あぁこれはゴッホに近いぞ。。などと独自の解釈で楽しむこともできます。
また、主題も人物画、静物、風景画と多様なので、誰が見ても必ず心に残る1枚に巡り合えるのではないでしょうか。
私は、やはり2度のパリ訪問時の作品。特に『門の広告』や『新聞屋』のような文字で埋め尽くされたような作品が好きで、「やっぱり私はフォービズムが好き」と再認識してしまいました。
彼が描くパリの建物や壁、窓下の絵などを鑑賞しているうちに、彼がみた当時の巴里を散策している錯覚に陥り、ちょっとした旅行気分を味わうことができました。
これだから美術館巡りはやめられない。
ところで、新聞配達夫。彼はこの人をモデルにガッシュ1枚と油絵2作品を描いておりますが、そのうち、ガッシュは戦火で焼失。残る2枚が所蔵作品として展示されていますが、実は最後の展示されている冊子の表紙が焼失した1枚のようです。
つまり、3枚の「新聞配達夫」すべてを見ることができる。
これもまた粋な計らいではないでしょうか。
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- morinousagisanさん