特別展「化石ハンター展 ~ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣~」
国立科学博物館|東京都
開催期間: ~
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「特別展化石ハンター~真夏の夜の夢にみる化石(骨)ワンダーランド~」
世の学生が未完の宿題を気にし始める8月中旬、日傘と扇子、保冷剤の武装で東京の科学博物館を訪問しました。
現在開催中なのは【化石ハンター】展。ハンター・・・某テレビ番組の黒服スーツで爆走する姿が連想されますが、一般的な翻訳だと狩人。
あるいは探検して何かを得る人達です。ゲームで馴染む言葉ならトレジャーハンター、最近聞くのだとプラントハンターとかカカオハンターとか。
まだ見ぬ価値あるものを求める冒険者たち。
今展覧会はアメリカの著名な化石ハンター、ロイ・C・アンドリュース(映画インディ・ジョーンズシリーズの主人公のモデルの一人とも言われています)のアジア探検100周年を記念して、彼がモンゴルのゴビ砂漠で世界で初めて発見した恐竜の卵、古生物の哺乳類の化石等研究成果や映像を中心に、
ハンターの世界とは何ぞやと提示しています。
『アジア探検~』と謳っているように、展示品の産出はアジア。特にモンゴルのゴビ砂漠は恐竜や古生物学研究者には宝の山に映る、世界有数の化石一大産地のひとつ。展覧会でも紹介されている日本の恐竜研究の第一人者、小林快次博士(ファンです)もかつてのアンドリュース博士に続き、度々訪れては発掘活動に勤しんでいます。
しかしこの場所はあまりにメジャーなので、度々盗掘の被害にあっているそうです。恐竜の骨1本でも1m越えはザラなサイズなのにどうやるんだと疑問に思いますが、なんとダイナマイトで目を付けた「丘」を夜にまるまる吹っ飛ばし、朝までに土と埋まってる化石を大型トラックでごっそり盗んでいくそうな・・・世間一般の泥棒とはだいぶ様子が違います。
前の【恐竜博2020】展で公開されたデイノケイルスという恐竜化石も、小林博士が当初発見できたのは手と胴体の一部分で、見栄えのする頭部は盗まれて密輸→ドイツに運ばれ、ドイツ側からの連絡と返還でようやく全身骨格が揃った経緯があったりします。
・・・少々脱線しましたが、そんなこんなで色々あるゴビ砂漠を中心に発見された恐竜化石をはじめ、今回世界初公開の大型哺乳類「チベットケサイ」の全身骨格復元標本や生体の復元モデル等、恐竜、古生物の哺乳類も展示されて、現代まで脈々と続く化石ハントの冒険の歴史と現在の状況が紹介されています。テンション高止まりですが、数ある骨と標本から恐竜・化石愛好家として注目展示品をピックします。
①ベロキラトプル化石標本
ちょうど現在公開されている映画【ジュラシックワールド】最新作でも出てくる小型肉食恐竜です。内モンゴルのゴビ砂漠発掘品。
イメージとしては一番メジャーなティラノサウルスの手を伸ばしてスリムにして、だいぶ小型化した感じです。
映画では身長2mくらいになってますが、実際は1m無かったようで、大体私の腰位置のサイズ。映画のせいか、私も見るまで勝手に巨大化イメージしてました。しかし映画観ていると動きや生態などはすごくイメージしやすいですね。大変知能が高く、足が速くて集団で連携し獲物をハントしていたようです。紹介文と一緒に描かれている絵では典型的爬虫類系統。最近の研究で恐竜は爬虫類よりも鳥類の先祖にあたると解明されていて、手の脇とかに羽毛とか、体に毛が生えてるイメージ絵も増えてます。
②パラケラテリウム化石標本
中央アジアカザフスタン発掘。恐竜絶滅後に隆盛してこちらも絶滅した大型哺乳類で、展示の中では一番大きいです!
いつも下ばっかり見てるので、見上げてると首が痛い(笑)。
距離をとらないと全身撮影できません。子供もさらに小さく見えます。15tあるアフリカゾウより大きい、サイに似た哺乳類です。
復元予想イラストではゾウの体で顔がサイ、で、首が長い不思議な姿。この目で見れないのが本当に残念ですね。
蛇足ですがアメリカの大学研究チームが恐竜の末裔である鳥類の遺伝子操作をして先祖返りを繰り返し、恐竜復活を目指す研究をしているそうです。
映画の話に近いことは、現実に既に始まっているんですね。鳥類よりはるかに遺伝データがある哺乳類でもありそうな気もしますが、映画同様洒落にならない事態になりそうなので夢は夢のままであればと思います。
③アンモナイト
ネパール産。みんな大好き(なはず)アンモナイト。
真っ黒なまるまるとしたどらドラ焼きみたいな石を真ん中でパカっと割ると、きれいな渦巻きの貝化石が出てきます。
理科の授業で習いましたが大陸移動でインド大陸がアジアに衝突してできたネパールの山では、海の底だった頃の化石がよく採れるそうです。
海の底にいた貝類のアンモナイトが世界の屋根といわれる標高5000m級のヒマラヤ山脈で見つかる不思議にワクワクしますね。
ちなみにグッズコーナーでは小さいアンモナイトが1000円以下で売ってます(笑)。
前半に恐竜と古生物ときた後半の展示は、チベットで発掘されたチベットケサイ親子の標本(これまた大きくて現実のサイくらいのサイズ。角はゾウ並みに80cmくらいと長い!)や現在も生息している山羊、ユキヒョウ等モフモフの毛皮が並び、冷房で冷えてきた体にはなんだか羨ましくなってきました。小林博士はじめ、現在の科学博物館で生物や化石のハントに勤しむ現役ハンター達の映像が流れ、まだまだ未知と冒険に満ちたハンター世界に高揚気分で展示会場を後にしました。
グッズコーナーの一推しは当然アンモナイトをはじめとした販売化石類。特にPCのマウスみたいなサイズの真っ黒なクジラの歯の化石は買うか本気で悩みました。残念ながら今回はオリジナルのガチャはありません。会場の外のグッズ販売コーナーの近くには常設とおぼしきガチャが結構あるので、それはそれで良い記念になりそうです。夏休みに大人も子供もワクワクできる化石ハンター展、お勧めです。
※参考写真はInstagram【uchiko_unotama】にいくつか掲載しています
会場: 国立科学博物館
会期: 2022年7月16日(土)~10月10日(祝)
休館: 毎週月曜 ※詳細はホームページ参照
時間: 9:30-17:00(入館は30分前)
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