美しき色、いにしへの裂 ―〈ぎをん齋藤〉と〈染司よしおか〉の挑戦―
細見美術館|京都府
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齋藤氏と吉岡氏の業績に圧倒され…
いわずと知れた「ぎをん齋藤」と「染司よしおか」。齋藤貞一郎氏(京都祇園の老舗呉服店七代目当主)と吉岡幸雄氏(染織史家・染色家、染司よしおか五代目当主)の早すぎる回顧展…という気持ちで展示を巡った。
第一展示室では、吉岡氏の遺業に圧倒された。二月堂・修二会の「椿の造花」を染められていた吉岡氏。紙製の椿がとてもいと惜しく思えた。
また、紫根、紅花、茜、刈安、蓼藍…原材料である「植物の根」とともに「染色された作品」も展示されていた。この2点の展示品の間には多くの人とのつながり、掛けられた時間、吉岡氏のこだわり…等々、目にはみえない多くのものが詰まっている…と、しみじみと考えながら、展示室を後にした。(この展示室のみ写真撮影可能)
第二、第三展示室は、齋藤氏のコレクションとなり、素晴らしい古裂の数々および摺箔作品などが見られる。摺箔の表現として、「七曜(木、土、金、水、日、月)」の6種類の素敵な摺箔作品が陳列されていた。しかしながら、「火」に関しては、大病に掛かってしまい手掛けられなかったと展示室内に記載され、とても残念に感じた。せめて、氏の構想だけでも、どのような表現、構図を思い描かれていたのか…という入り口だけでも拝見したい気持ちであった。
なお、齋藤氏の蒐集された古裂は、保管の方向性が決まったときき、少し気持ちが和らいだ。素晴らしいお二方と同時代を過ごせたことに感謝の気持ちが尽きぬまま、美術館を後にした。