千葉市美術館所蔵 新版画―進化系UKIYO-Eの美
山口県立萩美術館・浦上記念館|山口県
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新版画オールスター勢ぞろい
東京国立近代美術館であった鏑木清方展、良かったですね。今年上期の白眉とも言うべき展覧会です。
5月27日からは京都の国立近代美術館で始まりますので、西日本のかたは是非行ってみてください。
さて、東京で清方見てから1か月ちょい、今度は我が山口県で清方チルドレンたちの作品も多数揃った新版画展が開催だ。
いずれも千葉市美術館の所蔵品。もうそれだけで期待大。コレクションレベルが高い美術館だからね。
新版画とは何ぞや? への回答は当展HPなどを参照されたし。簡単に言えば、江戸から明治・大正・昭和へと受け継がれた浮世絵の革新的な作品群だ。
で、今回焦点が当てられたのは、版元の渡邊庄三郎。新版画は渡邊が音頭とって始まったわけだから。
渡邊は絵師、彫師、摺師たちとタッグ組んで、江戸の浮世絵スピリッツを継承しつつ斬新かつ当時のコンテンポラリーな木版画を世に出した。
まずは美人画。モデルが日本髪か洋髪かで印象が違ってくるが、どちらもれっきとした浮世絵だ。
前者の代表的作家は何と言っても橋口五葉。これが版画かというぐらい美しい女性、特に裸婦像を描いている。経歴が東京美術学校の西洋画科卒なのでさもありなん。
洋髪美人なら小早川清。カクテルグラス、煙草などの小道具と共に妖艶な視線をこちらに投げかけてくる。昭和7年作のダンサーはイナバウアーやってますw
役者絵では山村耕花。歌舞伎役者の横顔が印象的。「梨園の華」シリーズはその真骨頂で、中にはジャンバルジャンなんてのがあって、これも歌舞伎の演目だそう。
風景の新版画なら、川瀬巴水と吉田博。この二人は近年の回顧展でファンになったかたも多いと思う。私もそう。
当展にもかなりの作品が来てて、どちらの作品も従来の浮世絵から一歩も二歩も進んだ「新」版画だ。巴水の旅情、吉田の洋画感、複製でいいから自宅に飾りたくなる。
ちなみに、私は巴水の錦帯橋の絵葉書を額に入れて飾ってます。
当展へ出展作家でやはり際立って上手いのは伊東深水だろう。清方の弟子の最右翼で、肉筆画の美しさが版画でも遺憾なく発揮されてる。近江八景と新美人十二姿の両シリーズは、見る者を本当に魅了する。
当展覧会、前期と後期で大幅に作品が入れ替わる。
前期に行った私、後期にも行こうと思ってます。
これほどの数をお貸しくださった千葉市美術館さんに厚く御礼申し上げます。
ちなみに、ご本家の千葉では9月から。首都圏のかた、お先に失礼です。
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