特別展「ポンペイ」
京都市京セラ美術館|京都府
開催期間: ~
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美食と暮らしのアートウォッチ【ポンペイ展】
コロナで行きたくても行けないイタリアの空気を感じさせる「特別展ポンペイ」を訪問。
海外というよりは古代世界へのタイムトラベル気分です。
今回の展示は全て写真撮影OKと嬉しい環境。内容がほぼ彫刻、生活用品遺物、モザイクと撮影による劣化影響があまり
及ばないせいもありますが、今回は特にありがたく、パシャパシャ撮影させてもらいました!
【ポンペイ】
歴史好きでなくても有名な都市ポンペイ。紀元後79年(日本は弥生時代で、邪馬台国の卑弥呼女王の現れる100年位前です)、
イタリア南部ヴェスヴィオ山の突然の大噴火により、麓の都市ポンペイは一夜にして有毒ガスとぶ厚い火山灰に埋もれてしまいました。
その後長年忘れ去られていましたが、1748年の遺跡発見以来、往時の歴史的資料として再評価。
今もコツコツと発掘が続けられていますが、2022年現在でも都市全体の1/4ぐらいの達成率。どんだけ広いのか。。。。。
日本でいえば鹿児島県の桜島が標高も100mくらいしか違わないし、鹿児島市街をイメージすると実感しやすいかもですね。
鹿児島市街全部を掘り起こすと考えたら気が遠くなりそうです。
【ポンペイ展】という名の展覧会は過去何度も開催されていますが、そのエンドレスの発掘状況のため、常に新発見、新展示があるせいで
毎回「本邦初!」とか「世界初!」といううたい文句が並びます。
なので今回も日本初公開を含む約150点の名品を紹介。貴族邸宅「ファウヌス家」の一部建築を再現し、遺跡の臨場感あふれる再現映像
なども加わって、最も【暮らし】が実感できる内容になっています。そんな【美】と【暮らし】をピックします。
ピック①美男美女
今回の展示の注目は先ずはローマの美男美女。イタリアルネサンスの見本とされた古代ローマ彫刻が全て美人!目の保養です(笑)
男性ならお腹周りはシックスパック。もしくはミケランジェロのダヴィデ像お手本かという均整の取れた肉体、美尻w。
かたや女性は理想的な凹凸と最も美しく見えるS字ポーズも麗しい、衣服のドレープ含めてラ・ベル【美】を体現しています。
材質は白く滑らかな大理石が多くて、これはイタリア北西部のアルプス山脈の麓、カッラーラの恩恵ですね。
古代ローマは美を作り出す自然の恩恵が豊かです。
ピック②暮らしと美食
もう一つの見どころは暮らしの展示。片手の鍋や食品をプレスする重石(なんとブタのフォルム!可愛いです)、
玄関先の床モザイクの【猛犬注意】を表す大型ワンコの絵、不動産広告壁画など、現代でもあるあるな生活資料の
展示はものすごく古代都市を身近に感じさせます。
ちなみに古代ローマ美術を学んだ時に私が関心を持ったのは、ローマ人の美食でした。
古代ローマ料理のレシピと評論本【アピキウス】にはローマの暮らしを垣間見る食生活が掲載されています。
本によると、古代ローマ人の味覚志向は日本でいう東北地方の濃いめの味付けがお好みらしく、食材にはハーブとやたらと胡椒の表記。
血圧が上がりそうですが、メイン食材をみるとヤマネ、フラミンゴ(!?)、ラクダ、孔雀、カタツムリ(=エスカルゴ)と中々。。。野生的。
クセの強い食材には臭み消しのスパイスが好まれたようです。
ちなみに世界三大珍味のフォアグラの原型は古代ローマのようで、ガチョウではなくてブタでレシピがあります。
ひたすらドライイチジクを食べさせる方法は今のフォアグラと製法はほぼ同じです。フォアグラといいエスカルゴといい、
美食は北部古代ローマのフランスに現代まで引き継がれたみたいです。
ピック③モザイク画
展示の絵で1番素晴らしいと思った【イセエビとタコの戦い】(☜タイトルに個人的ツボ(笑))では、2~3mm四方のモザイク色石で
表現された魚介に目を見張ります。モザイクなのに青魚のテカリも表現されていて、美味しそうな表現力は必見です!!
カツオとかサバとか食べたくなります(笑)ちなみに古代ローマには鰯とか使った魚醬もありました。
グッズ売り場には火山灰で炭化したパンがクッションとして売られ、こちらも好評のよう。
私は炭クッキーを購入。炭のデトックスに期待します。
デトックス抜きでも素朴で美味しいです。美と食を愛する古代ローマ世界を堪能しました。