博覧 -近代京都の集め見せる力- 初期京都博覧会・西本願寺蒐覧会・仏教児童博物館・平瀬貝類博物館
龍谷大学 龍谷ミュージアム|京都府
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展示や図録、ともに徹底した充実ぶりに驚く。
展示は次の4本立ての構成から成る。①初期の京都博覧会、②西本願寺蒐覧会、③仏教児童博物館(日本初の子ども向き展示)、④平瀬貝類博物館(平瀬氏による日本初の貝類を専門とした私設博物館)。
なかでも、最も目をひく点は、展覧会チラシに掲載されている明治期の写真の布地プリント(超巨大)を、展示室内で「仕切り」として使われていることであろう。超巨大な画像のため、内容を細分に渡りじっくりと見ることができるほか、展示作品を見せることが抜群に上手く、「展示・展覧のお手本」のようにも思えた。
これほどまでに解りやすい文章による解説、整理された見やすい展示による展覧会があっただろうか。「見せること」を徹底的に追求し続けたからこそ成立した展覧会であるように感じた。
また、展覧会図録(2500円、259頁)も極めて充実している。展覧会内容をさらに深く知りたい人向けの書籍であるが、図解が豊富で非常に読みやすいことを特徴とするが、隅々にいたるまで徹底している。
ただし、各博覧・展覧会において「なぜ展示するのか」という部分に関する「一言回答」のようなもの…が記されていたら、もっと親切であったように感じた。
私見であるが、各展示の目的については、次のように受けとった。
①初期の京都博覧会では、その意義として「作品を観賞することが、知見を広げ、知識を深めることに繋がり、人の心を豊かにする(意訳)」と掲げられているため、これが意図かと。
②西本願寺蒐覧会についてはその意図が明確ではないが、伝道活動から蒐集した法宝物を見せることに加え、維新後の財政難の寺院に入場料などを収入とすることも目的であったかもしれない。
③仏教児童博物館では、子供のために仏教の解りやすい展示を行い興味・関心を喚起するため。
④平瀬貝類博物館では、意図的かつ網羅的に収集した貝類を広く一般に公開する目的のため。個人蒐集による研究の成果発表の場ともいえよう。
余談であるが、子どもの頃「10を数える」時などに「だるまさんがころんだ(10文字)」を用いていたが、その類似語として「インディアンのふんどし(10文字)」や「リンカーンのふんどし(10文字)」なども用いていた。ふんどしを締めているインディアンを想像したたげで面白く、子どもながらにお気に入りの言葉であったが、今回の展示作品の中に「ふんどし姿のインディアン」をみつけ、生き別れた兄弟と再開できた時のような嬉しい気持ちになった。
18 『The Far East Entrance to One of The Exhibitions at Kioto」Vol. Ⅲ No.8. 明治五年、同志社大学図書館(p.92の次頁西本願寺会場図:写真)
20 『博覧新報』 第一号、 第二号、明治五年、京都女子大学図書館
38 返礼人形(インディアン酋長マサソイト)昭和初期、日野芳文蔵